野菜とささみを蒸して食う

「お好み焼きに飽きたのだろう」と言われるのは心外である。とはいえ、お好み焼きがきつくなってきたのはある意味正しいのだ。味に飽きてきたわけじゃない。小麦粉が食えなくなってきた。腹がいっぱいになる。炭水化物がつらい。そして、小麦粉を減らす。減らし続けると、お好み焼きとしての形体が保てなくなってくる。キャベツ炒めに近い。なら、いっそのこと野菜だけ食う。とはいえ、野菜だけでは足りないような気もする。鶏のささみを入れる。

鶏のささみはすばらしい。パサパサしているというのは食べ方が悪い。蒸した直後の熱々のを食べれば、これほどジューシーで身の詰まった肉があろうか。それになんといっても安い。いろいろの影響で豚肉が高くなっている(適正価格というのもいくらかわからないものだが)のに比べれば、安いのだ。おれは「金がないのだろう」と言われたら「そのとおりだ」と応えるよりない。そういう人間だ。

野菜と鶏のささみを蒸す。何で食う? 酢醤油で食う。まあ、べつにポン酢でもなんでもいいんだろうけれど、酢は酢、醤油は醤油でストックしておきたいところがある。これに、3パックないし4パックで売ってる小さめの豆腐を一つ添える。おれは野菜と鶏のささみを蒸して食う。アルコールを入れて世界をバラ色にして、しばらくすると薬を食って寝てしまう。おれは決まりきった人生を愛している。それが長く続かないとわかっていても、そうであってほしいという願望を事実と思い込んで生きている。進入は内からいち、ふた、さん、し、ご、ろく。枠なりでいいじゃないか、枠なりで……。