スイカ売りの喧嘩

会社帰り、おれはスーパーに寄る、中華街近くの駅の行き止まりにあるスーパー、近くに軽トラック、荷台に大きなスイカを目一杯積んで、スイカ売りのじいさんが「一玉二百円! 好きなの選んでもってって!」とやってる、その横を通りすぎて、スーパーで買い物を済ませたおれ、いったん駐輪場の自転車かごに買い物つっ込んで、東スポ買いにすぐそばのコンビニ行こうとすると、さっきのスイカ売りのじいさん、「こんなん選ぶのにとっとと決めねえのが悪いんだよ!」とか怒鳴ってて、それに対して強い調子で何事か抗議の声飛んで、しかしまあてめえの売り物に「こんなん」はねえよなと思って見やれば、慌てて荷台のカバーおろして車体に縛りつけてて、まだこっから帰宅する客たくさんくるかきいれどきじゃねえのって時間なのに、えろう慌てて店じまいはじめてて、怒鳴り合いしてたと思しき中国人の客も結局なんか戸惑ってるみたいで、さてなんだろうと思ったら、ちょっと先に赤色灯、パトカーが止まってて、警官が二人、それぞれちょっと離れたところでおっさん二人から事情聴取してんの、どうもなんか交通事故かなんかあったみたいで、そいつを見たスイカ売りのじいさん撤収はじめたって按配かって、ひょっとしたらそこで商いすんのってやっぱり法的にグレーだかアウトなのって思って、だれにでもよくねえ日はあるよって、それでも、店じまい終えた軽トラ、パトカーの横すり抜けられんのかねえって、確かめないでおれは自転車にまたがって、のろのろと家路についたのだ。