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さて、帰るか

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石母田正の『歴史と民族の発見』を読んでいたら、フランスの歴史学者マルク・ブロックという人が対ナチス・ドイツのレジスタンスをしていたら捕まって、銃殺刑になったという話が出てきた。その銃殺刑の場所が「トレヴ」であると記されていた。凱旋門賞二連覇の名牝トレヴが地名にちなんだものかどうかは知らないが、何故かどきりとしたものだ。何十年前の本を読んでいると思ってるんだ。

そのトレヴの兄が誘拐されたという。トレヴ自身、セリで売れ残った馬らしいが、兄も大した戦績を残した馬ではなかったのだろう。ただ、乗馬をしていたところ、妹の活躍もあって種馬をしていたらしい。競走馬の誘拐といえばシャーガーが思い浮かび、シャーガーといえばアウザールを思い浮かべる。種馬への復帰といえばメルシーステージとその父ステートジャガーのことが思い浮かぶ。遠い過去の話だ。そして、おれにとっては遠い過去のダビスタの話でもある。ただ、おれにとってサラブレッドは場外馬券売り場のモニタの向こうの存在、何が実際に起こった歴史かわかりはしない。とはいえ、今、アウザールの子孫を出馬表の中に探すことは難しいように思える。

アウザールといえばイブキラジョウモンということになる。イブキの馬といえば、イブキタモンヤグライブキマイカグラなど和風の印象がある。ただ、イブキニュースターなんていうのもいて、あれはたしかニジンスキー直仔の最後の世代だったと思う。おれはたいへんそれはすごいことだと思い、よく馬券を買っていたように思う。とはいえ、オークスの本命はライデンリーダーだった。

イブキニュースターの最後のレースはオープン特別のアイルランドトロフィーだ。勝ち馬はトーヨーレインボーでほかの出走馬を見ても重賞級のように思える。記憶がそうさせているだけだろうか。それはともかく、今年のアイルランドトロフィーは見ものであった。デビューから破竹の四連勝、断然のエイシンヒカリが出走。序盤から飛ばしに飛ばし、後続に差をつけていざ直線。と、ここで逸走かと思わせるくらい外に外に向かって走ること。インを突いてくる後続馬との距離感がわからない。結局二着に三馬身半つけての勝利だったが、映像を見る限りそんなに差がついていたのかと驚いた。このところこういう逃げに逃げる馬というのがいたのかどうか、おれはこのところの競馬に疎いのでよくわからない。また、今のところエイシンヒカリが過去の多種多様な逃げ馬のどのタイプに当たるのか、そしてなにより実力がどの程度なのかわかりはしない。ただ、久しぶりに面白いレースを観たという気にはなった。また、この馬がエーシンではなく、エイシンというのもいい。これもまた懐古趣味に過ぎない。おれは過去へ向かって逃げを打って、コーナーを逸走して競走を中止する。これは競馬ではなく人生なのだが、いずれにせよあなたに馬券は返還されない。