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さて、帰るか

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「俺、ツインテールになります。」はすばらしい。これは一つの答えだ。だれかの見た夢だ。願望の成就だ。とはいえ、おれはツインテールになりたいとは思わない。ブレザーあるいはポロシャツの制服を着た少女のポニーテールになりたい。いや、ポニーテールになりたいのか、ポニーテールの少女になりたいのか。思えばおれはセーラー服というものにあまり感動しない性質だった。かつてはブルセラという言葉もあった。セラになにかを抱いたりしなかった。ではブルになにかを抱いたのか。おれは昭和の子なのでブルが現役で隣に居たといっていい。とはいえ、今アニメなどで見るブルはなにやら虚しい気持ちになる。成仏してくれという気になる。むろん、おれはツインテールの人もブルの人も否定などしない。すべての人の願望が成就し、互いに争い合うこともなく、三千世界にそれぞれの梅が一斉に花開く、そんな場所を夢想したっていいだろう。おれはもう十分に戦った。不戦敗という名の敗北を繰り返した。おれはたいへんに疲弊しているし、腹も減っている。おれは餓えているが、かといって食いたいわけでもない。おれにはなにも願望がないのかもしれないと思う。とはいえ、どこかに傲慢さのけものが腹の底で蠢いている。僅かばかりの才能とか、器量とか、自分とか財産とかいうものが何かじぶんんのからだについたものであるかと思い、じぶんの仕事を卑しみ、同輩を嘲り、いまにどこからかじぶんを所謂社会の高みへ引き上げに来るものがあるように思い、空想をのみ生活して却って完全な現在の生活をば味わうこともせず、幾年かが虚しく過ぎて漸くじぶんの築いていた蜃気楼の消えるのを見ては、ただもう……。さて、どこから宮沢賢治が始まったのでしょうか。たぶん「ポロシャツの制服」あたりからかと思うが、よくわからない。制服のポロシャツ。真夏のピークが去ったと天気予報士が言ったのをおれは聞いていない。気づいたらすっかり寒くなってしまった。おれの安アパートは外よりも寒い。外も十分に寒い。それでも街の人はなんだかまだ真冬の格好をしていないのだから、おれも我慢して真冬の格好をしていない。本心は別のところにある。その証拠に一番下の肌着はなにか機能を有するものを身につけている。ユニクロだろうか。新しいユニクロはとてもじゃないが高くて買えない。おれの古着の下でおれを保温しているのは、G.U.のものだ。おれはG.U.を「ゲー・ウー」と読む。おれはゲー・ウーで十分だ。ペーはどこに行ったんだ。こんな調子じゃフェリックス・ジェルジンスキー衛兵連隊に連行されてしまう。おれは善き人でもないし、ソナタが何を意味するのかもしらない。四月は君の嘘、十月はわたしの帝国。さあ、寒さにも疲労にも立ち向かおう。スコップを片手に、ブルジョアジーの独占に立ち向かおう! 西武園を解放しよう! 西武園が、どこにあるかは知らないが……!