劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』を観る


 冬以外の季節だけど、まるで冬みたいに寒い、そんな日だった。だけど今日は冬だった……冬の日曜……空の色もどこかおかしいときていた。おれは……いくらか迷ったあげく……アイマスの映画を観に家を出た……映画を一階観る金で、何回昼飯を食えるか、おれの財布は冷えている……考えたところで大した違いなんかないのだ……毎週映画を観るというのならべつだが。
 おれと『アイマス』、『アイマス』とおれ……おれは『アイマス2』をするためにPS3を買った……間違いのない記憶だ……じゃあその理由はなんだったんだろう……どうせこのくだらない日記を読み返せばわかるが……たぶんアニメ版の2話あたりにやられたんだったと思う……水瀬伊織……そして『ゼノグラシア』もすべて観た……だいたいのCDも借りて聴いた……今日だって録画してあったアニメの最終話でも観てから出ようと思った……が、録画した媒体が見つからなかったから、代わりに『Wake Up Girls!』の第3話を観た……意味はあったのか。
 樹木……そこらに植栽される街路樹や生け垣なんかのことだ……「葉が密に」という表現がある……この映画も「密」だった……自然に「密」だった……へんな形のトピアリーにされてもいない……そして物語には芯があった。おれの他愛もないアイマス歴からいうと……自然な発展形だったし、掬いきれていない部分があるかもしれないが、それぞれのキャラの個性は生きていたし、小ネタもあった……ように思う。
 ただ、おれは「シンデレラガールズ」のことを一切知らない……ソーシャルゲーム……課金の匂い……貧乏人で依存症になりやすい性質であろうおれは、一切知らないことにした。残念なことに、ネットでいわゆる「モバマス」の文字を見かけるようになってから、『アイマス2』からも手を引いた……「それ以上はいけない」……なにかがそう囁いた。だからといって、『アイマス」が嫌いになったわけじゃないんだ……極端な自制心というものがあるだけだ。
 ただ、「シンデレラガールズ」を知らなくったって、本作は楽しめるはずだ……むしろ未知の後輩を迎え入れる主役以下の面々と心ひとつになれるかもしれない……言い訳がましいか。ただ、おれは件のソーシャルゲームがいかなるものか皆目見当つかぬので……出てきた彼女らがどんなキャラなのか……キャラとどのようにかかわるゲームなのか……映画で動き、しゃべる彼女らを観て、ファンがどう思うか……なにひとつわからない。でも、わからなくたって……いいじゃないか、知っているところを楽しめば……小鳥さんの妄想壁ドン……『櫻の園』(1990)のような真と雪歩……劇中劇だけれど……うっうー。
 アニメ26話の成長をベースに描かれている各キャラ……千早さんは非常に落ち着いて春香に寄り添っていた……伊織は要所で切れ味を見せた……美希はスペシャルななにかを身にまとっていた……リーダーを指名するシーンでの美希一コマ……それも回収される行き届いた脚本……とはいえ、さすがにこの尺ですべてのメンバーに同量のスポット・ライトを当てられるわけではない……だけどかまわない、おれが菊地真のファンだからといって……ライブ・シーンで心のサイリウムを振らないなんて話にはならないんだ。心のサイリウム……おれも持っているのだろうか……きっと持っている。ただし、金が無いから「シンデレラガールズ」は……それ以上はよくない。
 しかし、この作品の底にある暗さとはなんだったのだろうか……副題に「輝きの向こう側に」とある……輝きの向こう側には闇がある……そんなことを考えるのはよくないのだろうが……メランコリーに支配されたおれは、サイリウムのように光ることはない。右肩上がりの人生を送っている人間にはわからないだろうが……月日が経つこと……将来への恐怖……これを、たとえばスクリーンの中の彼女らのように……乗り越えてはいけないのだ。
 おれはパンフレットを買って……ショッピングモールを素通りして……図書館に行ってセリーヌを二冊借りた。書庫から本が出てくる間、外では通り雨が降っていたらしい……。5月に出るPS3『ONE FOR ALL』ってのはどんな内容なんだ……そのときおれは雨にさらされないでアパートの中に居られる環境にあるのだろうか……。

……劇中のBGMのいろいろのアレンジされたあれやこれやの曲はよかった。

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