BURNT BY THE SUN! 映画『遥かなる勝利へ』を観る


 『太陽に灼かれて』、『戦火のナージャ』に続く三部作完結編。かつて革命の英雄であったコトフは、粛清の嵐の中で囚人となり、懲罰部隊に身を落とす。家族とも離れ離れになり、最愛の娘とも……。そこに妻の恋人であったドミートリの影があり……って、公式サイトの相関図でも見れや。
 感想を書く。正直、映画館まで行って安くない鑑賞料を払って観るべきかどうか迷っていた。迷っていたが、せっかくそれほど有名でない(ような気がする)ロシア映画二作観て、三作目をスクリーンで観られるなら(ジャック&ベティ)ってことで、わりと長い作品だし、眠気とトイレに気を使いながらなんとか見通すか、くらいの気持ちだったのよ。
 それがさ、始まってみれば、これがなんとも面白くて、緊張感があって、眠気とも飽きとも無縁だった。おもしれえ映画だ、こりゃあ。悲惨の独ソ戦というか、ソ連国防人民委員令第227号下で督戦隊が後ろから撃ってくる赤軍の悲惨から(前回出てたベリヤの出番はなかったが)、最後は「銃は二人に一丁だ!」どころじゃねえ、「そうび:ひのきのぼう」いちまんごせんにん……! そんな中でおのおのの立場が変わり、生や死に向かって行き来する人間模様。途中入るよくわからないがすげえかっこいい義指アクション! 作品全体を包むシニカルなユーモア! そびえ立つドイツ軍の砦! つーか、今気づいたけど英語タイトルが『BURNT BY THE SUN 3 : THE CITADEL』って、そういう意味なの? ロシア語でも同じっぽいけど、そうなの? うわ、そうだったら、ようやるわ、やってくれるわ! 『遥かなる勝利へ』なんて無難な邦題つけるなよ、ってくらいのもんでさ。代案はねえけど! けどまあ、人間に遥かなる勝利が訪れるものかどうか、永遠に遥かなるものかもしれねえとか、そんなんは思うけどよ。
 ま、とにかく満足したってよ、おれは満足したわ。『太陽に灼かれて』、『戦火のナージャ』観たおれが、観てないひとがこれ単体で観てどう感じるかはわからねえが、それでも、映画の「どうなるのこれ?」感があるんじゃねえかって、そう思うわ。いや、よかった、行ってよかった。おれの判断は間違ってなかった。ウラー、拍手、拍手、おしまい!