双極性障害者、『世界にひとつのプレイブック』を観る

 ふだんはラブコメみたいのはよう見んのだけど、主人公が双極性障害やというので観た。主人公のイケメン氏は妻を寝取られて寝取り男をフルボッコにして、刑務所やのうて病院送りになった模様。というのもそのあたりは詳しく描かれておらんのや。それで親が早めに退院させたんやろうか、したのだな。深夜にもの探しして大暴れしたり、寝てる両親叩き越して読んでた本の感想をまくしたてたり、まあ最初の暴行も含めて双極 I 型障害やろうと思う。かく言うおれは双極 II 型障害の線で診断、処方されとる。されとるから、わが身そのものという気は起こりようもないが、あんた、(なぜかゴミ袋を着ての)ジョギングはあかんちゃうんか。

 肥満は双極性障害予後不良因子であることが報告されていますし、運動には気分安定効果がありますので、適度に運動したり、健康な食物をとったりすることはプラスと考えられます。

 ただし、あまり体重のことを気にしすぎるのはお勧めできません。摂食障害というリスクがあるからです。双極性障害の方が摂食障害を併存していることは少なくありません。

……また、双極性障害の方が摂食障害になるのは、うつ状態に対する自己治療の試みであることが少なくありません。ダイエットをして痩せれば自信がついて気持ちが明るくなるだろうと思うのです(実際には、自信がつくどころか、単に二つの病気に苦しむ結果に終わります)。

 ……って水島広子先生も言うておられる。とはいえ、あの程度なら適度な運動かもしらん。ダンスもそうなのかもしらん。
 んで、一方で主人公氏、薬物療法を拒否しよる。

 おれにはそれがようわからん。おれはおれのジプレキサを手放したいとは思わない。かといってオーヴァドーズしたいとも思わん。薬にわるい印象を持つようになったらどうすんだって話だ。処方された適量を守りたい。ためしに二倍にしてやっぱあかんとなったら、素直に一錠に戻す。医者に言って処方を変えてもらう。そういうおれからすると、あのすばらしいレスリンでさえ、「頭がぼーっとする」、「太る」という理由で拒否するあんたらはよくわからん。ザナックス(ソラナックス)もか。いや、副作用で太るちゅうのはわからんでもない。わからんでもないが、薬飲もうよ。まあ、主人公、最後には飲んでるようだったが、まあそれ以上にラブロマンスが救うというのが鬱陶しい。いや、鬱陶しくない。それはそういうもんや、アメ公のラブコメや。
 とはいえ、主人公の親父のデ・ニーロがどうも双極性として描かれてるんじゃねえかというあたりは、さすがに仕込んでるなって気にはなる。デ・ニーロがなにしてるかって、アメフトのノミ屋だ。どうも合法なのかわからんが、ノミ屋だ、それが「パーレイ」だ。パイカリで聞いたな、まあいい、無茶な博打にぶっ込むあたりが、どうも双極性の遺伝を思わせる。その辺りは悪くない。
 悪くないのだな、全般的に。よくできとる。そういう感じがする。あまりおれはラブコメなど見ない。何かの骨を振り回す社長とか出てくる韓国映画とかのほうが好きだ。だけれども、よくできとる。それは認めずにはおられん。双極性から見ても、I型とII型の違いはあっても、「本で見た症状や」という感じであって、「こんなんじゃない!」みたいな気にもならない。というわけで、わりとよかった。そんだけ。おしまい。