『さよなら渓谷』を観る

 大西信満大森南朋井浦新新井浩文などという出演者ラインナップから観ることにした。なんか面白そうだと思える。どんなストーリーなのかはまったくの白紙。監督は大森立嗣で、『まほろ駅前多田便利軒』はよかったけど、『ぼっちゃん』はいまいちだったな、という印象。
 さて、どんな話かというと……白紙ということにしておこう。いくらでもネタバレにワンクリックでアクセスできる(公式でさえ)のだから、あえておれが書くこともあるまい。
 となると、それ以外のこととなるが……上記役者たちはさすがの演技(といえるほど演技の良し悪しなぞわからんが)、そして真木よう子すごいな、と。独特の存在感があって……。おみそれしました、というか。はっきりした二重まぶたに化粧っ気のない……それがただ黙ってなにかを見つめているだけで、なにかがあるんだなって。
 あと、舞台となる場所がよかった。東京の西の方の山の奥の方というか……たとえばどこかのローカル線に乗っていて、まわりは山と森なんだけど、駅の近くとかにはちょっと集落があったりして……ここに住む人はいったいどういう人生を、生活を送っているのだろうと思いをはせたりする……なんかそういう想像を引き起こすようなところなんだ。そういう想像の先に……幸せな人生があるのか、不幸せな人生があるのか、それ以外のなにかがあるのか……この映画は「それ以外」を描いたと言えるのかもしれない。
 ということで、連休の最後の日に、どこに出かけるでもなく部屋で観るには、なかなかじんわりと暗いものを残してくれる、なかなかにいい映画でした、と。それと、ラストがよかった。ほんとうに最後のラストな。

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