スペオペ(あとがきでこう書かれていたからそうなのだろう)の当シリーズ、3作目、4作目を読む。気のいい悪党と悪党の隠れ家のギミックが魅力の3作目もいいが、4作目『サリバン家のお引越し』がよかった。ある一家の、惑星からコロニーへのお引越しを主人公たちが請け負う話だ。主人公たちは引っ越し屋ではなく運送屋なのだが、まあいろいろの成り行きでそうなる。ともかく、引越しの話だ。
スペース・オペラなのに引越しである。見積をして、梱包をして、トラブルもあり……。なんとも地味だ。その地味さにしびれる。
スペース・オペラではなくソープ・オペラじゃないかという話だ。だが、そこがいい。宇宙に人類が出たのちも、同じような営みがあり、引越しもするだろう。地球のような惑星に住んでいた人間がコロニーに引越すとはどういうことだろう。荷物があって、心情もある。後半には
スペオペのアクション、ドタバタが入るが、おれは前半の地味さ加減にひかれた。いや、こういう日常SFを読むのが初めてかというとどうなのだか自分でも覚えていないが、そういうところをきっちり描いたあたりがいい。もちろん、ロイド、マージ、メイのトリオも魅力的だ。ぐいぐい引きこまれて一気に読んでしまう(併読しているのが
セリーヌの『虫けらどもをひねりつぶせ』(反
ユダヤパンフレット)だったりするので、癒やされたいというのもある)。とりあえずこのシリーズは最後まで読む。このシリーズには『太陽の簒奪者』の著者だから、というところから入ったが、
スペース・オペラものというのも手を出してみようかとも思う。理系でないくせに(だからこそ)ハードSF(……って、P.K.ディックと
ヴォネガットがまずくるわけだけど)ばかり読んでいたのもおかしな話だ。ひょっとしたら、あるいは、たぶん。
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