タカハシマコ『少年バンビ』、『スズラン手帖』を読む

 タカハシマコで『少年バンビ』ときたら、もう著者名とタイトルだけでおれは幸せな気持ちになってしまう。だって、タカハシマコで『少年バンビ』だぜ。ああ、もう、キュンとするでしょ。35歳独身男性、今日も健気に生きています。
 というわけで、ひさびさにタカハシマコ成分を吸引した。漫画は吸引するものなのか? まあいい。『少年バンビ』とはいえ、これはマーガレット(おれは少女漫画を読まないわけではないけれど、雑誌のことまで知っているわけではない)のコミックスであって、少年愛ものではない。でも、いい。どれのどこがいい? さすがに恥ずかしくて言いがたい。「夏がくれば思い出す」の気だるい感じがいいですね、とか、「ピクニック・イン・ザ・ウォーター」の少しズレた感じと、ラスト一コマから着想したのかなぁとか想像させるあたりとか、「水玉ホリデー」の三人のバランスとか……ため息ついちゃうますわ。メガネ男子多すぎ(著者あとがき)というのもべつにいいですわ。いやはや。 そして老女多すぎ(著者あとがき)という百合系の一冊がこちら。タカハシマコで『スズラン手帖』ときたら、著者名とタイトルだけで(以下略)。「いちごいちごいちご」のラストのコマの、少女ならではの……刺、痛み? そのところ。「ひとつぶの海」の未熟さと、そこから予感される未来、未来にいきすぎた「星や菫のことばかり」、ちょっとした(おれにしてみればな!)年齢差がなんともいえぬ味わいの「水フーセン、金魚、ラムネ」、長い長い年月を描いた「雪バラ、紅バラ」……。百合というものが何であるかおれには定義することはできないが、決して少女時代の一瞬ばかりがそうでないのだと、そのあたりが描かれているあたりに、おれはなにか広大な世界を見るような気になって、いいなぁと思ってしまう。『青い花』でもおまけ的に描かれていたりはするけれども、奥深いよなとか、勝手に唸ってしまうところがある。いやはや。

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