今すぐ抗不安剤をよこせ-映画『凶悪』を観る

凶悪 [DVD]

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 「ピエール瀧リリー・フランキーがなんか怪演してんだろ。『冷たい熱帯魚』みたいなのかな。ラーメンが獣臭い作品だったらいいな」とか思いながら観はじめたのだが、途中から呼吸が「ヘコー、ヘコー」と『闇金ウシジマくん』みたいになってしまった。山田孝之が出ているせいではあるまい。なんというのだろうか、おれやおれに近しい人たちはこのようにして殺されていくのだろうな、死んでいくのだろうなというリアルがそこにあって、そうなる前に死ななければならない死ななければならないという重圧に押しつぶされそうになった。貧しいもの、弱いものはこのようにして殺されていくのだという実感が体の隅々にまで行き渡った。これではピエール瀧の存在感も、リリー・フランキーの「先生」っぷりも楽しめない。いや、逆に心底染みわたるように夢中になっていると言えるのかもしれない。とはいえ、やはりおれは恐ろしくなってしまって、ベンゾジアゼピン系薬物を流し込むことになる。生活も悪くなる一方だし、心身ともに弱り切っているのをひしひしと感じる。そしてこの映画はそういうおれに打撃を与えるに十二分の殺しを持っている。ちょっとかんべんしてくれ、助けてくれ、そう思わずにはいられなかった。苦しまずに死にたい、苦しまずに死にたい。できることなら、苦しまずに生きたい。でも、そうはさせてくれない。絶望しか無い。

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