『サカサマのパテマ』を観る

 この作品を好きな人には申し訳ないが……というエクスキューズから入りたい、ということで全てを言い尽くしているような気もするが、『サカサマのパテマ』である。おれはこの作品になんらかの魅力を感じることがなかった。わかりにくい世界構造、造形的にも言動的にも魅力を感じられないキャラクター、陳腐な管理社会、文明が失われた以後の社会の描写……。ジブリの、宮崎駿のようななにかを作ろうとしたのか、しなかったのか知らないが、とことんまでうまく行っていない、てんで駄目な印象しか残らなかった。重力の逆さまという発想は悪くないと思うし、むしろ面白そうだが、主人公とヒロインの抱きつきくらいしか絵的な記憶はなく、縦方向にダイナミックな作画というものもないように感じられた。人間の目が横に並んでついているのが原因かもしれないし、おれの中のファンタジーへの感性が死んでいるせいかもしれない。そんなところだった。いくら言葉を連ねようとしても、そんなところ。