波打ち際で流されて

f:id:goldhead:20150423123346j:plain

裸足で波打ち際に立つ。すこしずつ足が砂の中に埋まっていくような気がする。波が打っては返す。おれは一歩も動いていないのに、海のほうに流されているような感覚におそわれる。あるいは、砂浜のほうに流されていくような感覚にもおそわれる。おれは一歩も動いていないのに、動いているような気がする。すこしずつ足が砂の中に埋まっていくような気がして、おれはもう一歩も動けない。

井岡一翔とレベコ。おれの採点では115-113で井岡。まるで井岡のほうがチャンピオンで、地元で手堅くベルトを守り通したように見えた。いわゆる「挑戦者らしさ」はなかった。それもまた強さというものなのかと思う。

前田健太はまた無援護に終わった。もし、シーズン通してこの調子だったら、だれが彼のメジャー行きをとめられるだろうか。海の向こう、想定外にイチローのスタメンは多い。転じてカープ。まさか新井が4番に定着しかかるとは思いもしなかった。それにしても巨人、金城や井端の活躍にはなにがあるのか。ラジオ解説の里崎は金城と同年齢。そして新井も。

羽田盃はストゥディウム。かかり気味から早め先頭のオウマタイムをきっちり差しきる。ストゥディウムの父はルースリンドルースリンドは中央から来たエルコンドルパサー産駒。ついこないだまで走っていたような気がする。まだ走っていてもおかしくないような気がする。オウマタイムはタイムパラドックスの子。ラッキープリンスはサイレントディールの子。クラバズーカーはスターキングマンの子。ところで御神本訓史の名前が見えないようだが……。

おれは一切なにも動いていないのに、動いているような気がする。波が打っては返す。おれの足はいよいよ砂にとらえられて動かない。このままここにいて一歩も動かず、このまま溺れ死ぬのか。おれは動いていないのに動いているような気がする。海のほうに流されていって溺れて死ぬのか。砂浜に屍となって打ち上げられるのか。なにもしたくない人間がなにもしないままいて死ぬまでにどれだけの工程が必要なのだろう? おれはもう動きたくないのだし、なにもしたくない。そもそもなにかができるわけでもない。おれにはなにもなかった。それでいいから、そっとしておいて欲しい。波はそれを許さない。この世に許しがあったためしはない。