根岸競馬場を右回りで走る

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ジョギングを再開して何週間か経つ。どこを走るかといえば、根岸森林公園の中を走ることが増えてきた。芝生広場を取り囲むように周回コースがあるのだ。路地や歩道を走るのに比べ、やはりウオーキングしたりジョギングしたりするために作られた道である。走りやすい。適当な起伏もある。

おれは夕方から夜に走る。その時間の公園の主はカラスという感じだが、少しは人もいる。芝生の上で犬を走らせている一団もいる。ウオーキングする人もいれば、少しは走っている人もいる(歩く人のほうが多いが)。おれもそれに混じってちんたら走る。

左回りで走る人が、多い。心臓の位置がどうこうという話に信憑性があるのかどうかわからないが、おれも左回りが走りやすい。おれは体育会以前に部活というものすらやっていなかったから知らなかったが、人体はそういうものかもしれないと思う。そんなことを考えながら円周を走る。ちんたら走る。

おれがちんたら走っているその円周は横浜競馬場(根岸競馬場)跡地である。おれは時代を超えて競走馬が走ったコースをなぞっているのかもしれない。と、ふと思う。横浜競馬場は左回りだったのか?

横浜競馬場 - Wikipedia

記述はないが、絵や写真を見てほしい。右回りじゃないですか。そして検索してみれば、日本競馬で右回りコースが多いのは、この競馬場を手本に造られたからだ、なんていう話まである。

それを知ったおれは、右回りで走ってみた。やはり違和感がある。けれど、これでこそ根岸の由緒正しい走りじゃないのかと思ってみる。思ってみたところで、やはり左回りのほうが走りやすい。おれが競走馬だとすれば東京【0.1.2.5】、中山【0.0.0.8】といったところだろうか。いや、おれが人生で連対なんかしたことあっただろうか。

まあいい、おれがいま、ただひとり走るのに着順も複勝圏も連対も勝利もない。ただ痩せるためにちんたら脚を動かし、腕を振る。右回りも左回りも関係ない。そしてiPhoneのRunKeeperに蓄積されていくデータと、体重計が指し示すどこまで信用できるかわからないいろいろの数値を眺めてちょっとばかりの悦に入る。……といいたいところだが、思ったより体重が落ちてこない。これも老いだろう。おれも死ぬのだろう。根岸の公園の木々のすき間から見える真っ赤な夕焼けのスクリーンの中に帰っていくのだろう。

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