緑の芝生を、走れ東出。

【オーナーズリーグ】[東出輝裕]<広島東洋カープ> /スター 《OWNERS LEAGUE 2012 01》ol09-154

広島・東出 現役引退「失敗したことしか覚えていない」 ― スポニチ Sponichi Annex 野球

08、09年に二塁手ベストナインに選ばれるなど、走攻守で低迷期のチームを支えた。

 

スポーツ新聞などで「低迷期を支えた」という表現を見かけるが、どうにも違和感がある。だれもかれもが支えられなかったから低迷していたのではないか、と。いや、この世には低迷期よりひどいものがあるのかもしれない。低迷期を支えるものがいたからこそ暗黒時代に陥らなかったのだ、と。

東出輝裕が引退するという。

東出の思い出といえば、夕暮れどきのラジオのことだ。おれはラジオで野球の国際大会を聴いていた。しかし、気づいたら寝てしまったようだった。ぼんやり意識が戻ってくると、耳に聴き慣れたメロディが入ってきた。かすかに入ってきた。「……みーどーりの芝生を、走れ、東出〜♪」。アジアのどこかの国で東出の応援歌がトランペットで吹き鳴らされている。それがなんの大会だったか、東出がどうだったのか、おれはまったく覚えていない。ただ、ラジオからかすか聴こえてきた応援歌になにか感じ入るところがあった。

打率.227という数字は妙に印象に残っている。

同じく「低迷期を支えた」栗原健太カープを去るという。

広島が「低迷期」でなかったのはいつのことだろうか。去年か、一昨年か。今年の広島は低迷していた。どうとも表現できないもどかしさに支配されていた。最後の試合がその象徴だったかもしれない。打てない? いや、数字的には打ててる方かもしれない。守れない? いや、数字的には守れている方かもしれない。でも、結果がこの通りだ。安直に緒方孝市批判をするつもりもないが(しょせんは居酒屋談義なのだからしたっていいのだけれど)、なにか歯車が噛み合っていなかったのだろう。

前田健太はメジャーに行くかもしれない。おれは来年から行ってほしいと思う。

黒田博樹には来年もカープで投げてほしいと思う。もう1年でいいから踏ん張ってほしいというのは酷だろうか?

新井貴浩は、来年は代打の切り札になってもらいたい。もちろん、スタメンとして周りが育ってのことだ。

……しかし、どうにもきついような気がしてならない。決め球がないと思っていた中崎の大成長みたいな例も、1年に1件あればいいくらいのことだろう。それじゃあ優勝は程遠い。エルドレッド頼みだけという打線ではCS進出も苦しい。さて、5年、10年ののちに今の低迷期を支えたと言われぬよう、選手たちには頑張ってもらいたいものだが。いや、おまえに言われんでも頑張っていますか。御免。