サイレンススズカは足が速かった

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そうか、今年の秋の天皇賞は11月1日なのか。「オフサイドトラップが勝った」のではなく、「サイレンススズカが死んだ」と言われてしまう天皇賞。勝者のみが名を残すとは限らない。特別な悲劇というものもある。

そのころはまだ実家があった。テレビを見ながら、たまたま一緒の部屋にいた競馬を知らない母におれは言った。「勝とうが負けようが、これは歴史的レースになるよ!」。サイレンススズカは勝ちも負けもしなかった。しかし歴史的なレースにはなってしまった。

ケイバカラノテガミ - 関内関外日記

サイレンススズカが非業の死を遂げた天皇賞・秋。はっきり覚えている、11月1日の11R、1枠1番1番人気のサイレンススズカ……。なんだよ、悲しくなるじゃねえか。

ちなみにサイレンススズカのデビュー戦は11頭立てで1枠1番1番人気で1着、鞍上は上村洋行だった。おれの一番すばらしいダービー馬であるサニーブライアンのダービーにも出ていたのだから、おれはサイレンススズカを生で見たこともあるはずだ。馬券の相性はどうだったか。いいはずがない可能性が高い。

今年出走予定の注目馬エイシンヒカリも逃げ馬である。しかし、サイレンススズカとはタイプが違う。むろん、現時点での実績も違うが、なにかこう……サイレンススズカは足が速かったんだ。競走馬を表現するのに「足が速い」。馬鹿みたいな言い方だ。だが、そうとしか言えないなにかがあった。サイレンススズカは足が速かった。タイムとかそういうんじゃないのだ。足が速かったんだ……。

さあ、今年はどうなるだろう。エイシンヒカリは何枠に入るのだろうか。勝つのだろうか、惜敗するのだろうか、馬群に沈むのだろうか。いずれにせよ、結果は勝ちか負けであってもらいたい。特別な悲劇はまったく見たくないのだ。当たり前だが。