南房秀久『ノーブルウィッチーズ 第506統合戦闘航空団 飛翔!』を読む

 おれはあまりライトノベルと呼ばれる分野の作品を読んだことがない。中学時代に勧められたことはあったが、ちょっと中を覗いてみるとやけに改行が多く、ボールド体なんかで装飾しまくっていて、おまけにあれだろ、剣と魔法でチャラチャラやるやつだろ? という反応をした覚えがある。反応というか反発か。言ってしまえばそのときおれは中二病のまっさかりで、何を考えたか「フィクション全部」を小馬鹿にするというよくわからない病気にかかっていた(わりには剣と魔法のビデオゲームや漫画には夢中になっていたのだが)。なぜかノンフィクションにのみ価値があると考えて、新書ばかり買っては読んでいた。ライトノベルに限らず、思春期と呼ばれる一時期に、まったくといっていいほどフィクション、小説を読まなかったのは、大きな欠落ではないかと今になっては思う。だが、当時はそうだった。おれが積極的に小説を読みだしたのは……高校の終わりくらいかもしれない。
 などとくどくど書いたところでべつになんということもないのだが、たぶんこの『ノーブルウィッチーズ』もライトノベルにあたるのだろうか。おそらくはそうだろう。もう今のおれにはフィクションへの嫌悪なんてありはしないし、だいたい30過ぎてアニメにハマり出したのだ。なにもが新鮮だし、ラノベだってドカッとハマるときがくるかもしれない。まあ、今は来ていないが、ストライクウィッチーズ関連ときたら話は別だ。いくらでも食わせてくださいというものだ。全ページの縦方向のセンターに横線を引いてみて、下半分に空白が多かろうがなんだろうが、おれの心は満たされるというものだ。黒田那佳が本家に馬鹿にされれば一緒に悔しがり、プリン姫の幼き日の思い出に心酔し、ウィッチ同士の模擬戦に胸ときめかすのだ。それで、ちらちらと出てくる501ネタなんかにもニヤニヤしながら、ああもう一気に読み終えてしまう。面白じゃねえの。ああ、もう。
 というわけで、ファンなら買い。というか、買ってるか。読んでるか。そりゃあいいや。しかしなんだろうな、ゲスト的にバルクホルンとエーリカが出てきたけど、おりゃあプリン姫との絡みじゃあマルセイユあたりだとどうなんのか気になるね。アフリカの星もプライド高いからな。……とか、妄想にふけるから、散った散った、店じまいだ、店じまい。おやすみ!