印刷博物館へ行く

 印刷博物館に『ヴァチカン教皇庁図書館展II 書物がひらくルネサンス』を観に行った。……というと嘘になる。本当は「みんなにうれしいカタチ展 ユニバーサルデザイン2015』が目的だった。……っといってもやや嘘になる。いや、女がそちらに行きたいというのでついて行ったというのが実際のところか。なにかほかに注目の展覧会とかないですかね。というような。
 とはいえ、凸版印刷みたいな大手とはまったく縁がないとはいえ、デザイン、DTPの最下流に位置する身としては、一度くらい印刷博物館くらい行っておかなければというのはあった。ちかくにモリサワの東京支社もあるしな(結局行かなかったけど)。
 で、ユニバーサルデザイン展だが、こちらは無料で見られるわりになかなかおもしろく、世の中UDフォントだけ使ってりゃいいってもんじゃねえんだなと思った、……とか殊勝なことを思ったわけでもないけれど。ただ、なんか柔らかいコップ(落ちても割れない)は面白えなって思ったな。各種左利き用器具とか、そうだ、あれだ、留め具が両側についているから左右どちら巻でも巻ける傘なんてのは「ほう」という感じで。
 で、ついでなので金を払って『ヴァチカン(以下略)』も鑑賞。なんというか、絵だの立体造形だのを美術館なり博物館なりに観に行くということはあっても、本ばかり観に行くというのは初めてかもしれない。なにせ印刷博物館なのだから、手書きというよりも印刷の世界なわけだ。それで1468年のユスティアヌス帝『法学提要』の奇妙なレイアウトを見たり、1591年の『どちりいな・きりしたん』を見たり、「なんで森永エンゼル財団がトマス・アクィナスの『神学大全』を所有してんだろ」と思ったり、まあそんなんで、ラテン語読めるとか、聖書マニアだとか、フォントマニアだとか、ルネサンスだのなんだのの時代物が好きだとか、そういう人には興奮が止まらない展示かな、と。まあ、おれはいずれにも該当しないのだけれど。
 そんでもまあ、なんか「天正少年使節からヴェネチア共和国政府への感謝状」(1585年)とか見て、花押とか見て「おお」とかなったり、なんだかんだなかなか面白いといえば面白かったといえるかもしれぬ。
 あとは通常展示があって、版画家の作品とその制作風景(ビデオ)とかそんなんがわりかしよかったかもしれない。あとはなんだ、やっぱり凸版印刷すげえ建物に入ってんなとか思った。しょうもないな。でも、そんなん。以上。