フィリップ・K・ディック『ヴァルカンの鉄槌』を読むのこと

ヴァルカンの鉄鎚 (創元SF文庫) (創元SF文庫)

ヴァルカンの鉄鎚 (創元SF文庫) (創元SF文庫)

最新テクノロジーと複雑に発達した組織力を背景とする現代世界の官僚機構を転覆させることは至難のわざでしょう。百年前ならあなたの運動も効果的だったかもしれない。しかし、今は時代がちがいます。国家政府というものが、訓練された専門家集団によって築かれたひとつの科学となっているのです。

 最後に邦訳されたP.K.ディックの長編という。一番面白いものが最後に邦訳されるということはありえない。そのつもりで読むべきである。とはいえ、おれが最初にディックを読んだのは『ザップ・ガン』だった。「それにもかかわらず」おれはディックの熱心な読者になった。べつに『ヴァルカンの鉄槌』から読み始めたっていい。新訳の『ヴァリス』から入ろうが、『市に虎声あり』から入ろうが、『我が生涯の弁明』から入ろうが自由というものだ。出て行くのも自由だ。ピンクの光にやられちまうのも自由だ。
 本作は、コンピュータに支配された世界を舞台にした、まあそういう話だ。まあそういう話であって、そういうものだと普通に読めばよろしい。用意されているどんでん返しらしきものもとんてんけろっぴくらいのものであって(なんだそれは?)、正直いえばおれは読み進むに従って一回に読む量が少なくなっていったというところだ。とはいえ、こういうのもディックの一面、などと言えばファンらしくもあろうが、まあ正直読まなくてもよかったかなと言ってしまってもいいか。まあ、どうでもいいのだ、どうでも。

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 「最後に〜」とはいうものの、最後の方に訳されたこいつはおもしろかったので、まあいろいろある。