ニコラス・ウィンディング・レフン『ブロンソン』を観る

ブロンソン [DVD]

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 『ドライブ』はたいへん好もしく、『ヴァルハラ・ライジング』は眠く、『オンリー・ゴッド』はおっさんがカラオケしていたニコラス・ウィンディング・レフン作品である。本作は英国で一番有名な囚人の実話を元にしている映画である。とはいえ、『ファーゴ』の例もある。と、調べてみると、実在するようだ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Salvador

Charles Arthur "Charlie" Salvador (better known as Charles Bronson and born Michael Gordon "Mickey" Peterson; 6 December 1952) is an English criminal who is often referred to in the British press as the "most violent prisoner in Britain" and "Britain's most notorious prisoner".

 というわけで、モストにバイオレントな囚人の話である。主人公の体つきからしてバイオレントであって、しかもなにかこう、どっかで見たことあるな、と思うのである。むろん、おれは英国の囚人のことは知らない。おれが思ったのは、「昔のK-1かPRIDEの最後の方に、こんな感じのムキムキで馬鹿みたいにブン回すイギリスの白人ファイターいたよなあ」である。そういう意味ではリアルである。このリアルなトム・ハーディー肉体は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』につながっているだとすればすばらしい。怒りもつながっているとすればすばらしい。
 が、怒りはつながっていない感じである。この『ブロンソン』のブロンソンはあまりにブロンソンすぎる。ただひたすらの暴力&暴力。ほぼほぼ暴力だけの映画だけであって潔い。が、やっぱりなんかこう率直に言えば退屈でもある。自称ブロンソンが草ボクシングでおっさんを殴る、自称ブロンソンが刑務所で刑務官を殴る、もう、そればっかりなのである。途中に入る舞台のシーンなどはまあどうでもいいやという気がしないでもない。でも、あの異常なトム・ハーディーピエロな感じが『ダークナイト……って、おれ『ダークナイトライジング』観てたっけ? まあいいや。
 なんというのだろう、この主人公は病気なのだな、たぶん。精神の病気。それでもって、おれも一応は精神の病気持ちとして、なんというのか当たり前に観てしまうところがあって、まあそれもおれの問題であって。なにかすごい圧倒的だぜ、という迫力一本押しも淡々と処理できてしまって。でもまあ、もうちょっと話に山や谷があってもいいと思うんだけど、なんだろう、芸術映画寄りなのかな?
 というわけで、実話囚人ものなら『ゆきゆきて神軍』を観よう。いや、そういう話なのか。まあいいや。おしまい。

ゆきゆきて、神軍 [DVD]

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