おれのかわりに松重豊が食うシステム - ドラマ『孤独のグルメ』

 おれは漫画『孤独のグルメ』が大好きであるが、ドラマの方はあまり見ていなかった。とくに理由はない。おれのテレビはアニメ専用機だというところもあるし、人の出るドラマはあまり興味が無いというところもある。

 が、おれはテレビで芸能人なんかがものを食っていたり、どこぞの大食いが大食い大会をやっているのを見るのは嫌いじゃないのである。むしろ好きの部類に入る。それはおれの秘めた願望かもしれないし、言い換えれば単なる卑しさかもしれない。
 そうなると、ドラマ『孤独のグルメ』の食うシーンはすばらしいじゃないの。そう思った。Amazonプライムで無料配信されているやつを見ながらそう思った(探せばBlu-rayに焼いたやつがどっかにあると思うが)。
 というわけで、終わってしまったが最新シリーズと最初のシリーズを片っ端から見たわけだ。ただ、全部見たというわけにはいかない。おれは前半のドラマパート(?)を早送りで飛ばしてしまっているからだ。松重豊が店を選ぶんだり、入るのを悩んだりするところから見はじめ、エンディングが流れ始めたら見終える。それだけのことである。それだけのことがえらく面白い。面白いなあと思う。なにしろ松重豊の食いっぷりがいい。少々「ご飯が足りなくなるのではないか?」という心配を感じさせるが、メーンからガツガツいくあたりがいい。おれなんかはメーンディッシュを温存しつつ、副菜あたりをつついて、ご飯の量を気にしつつショボショボいくに違いない。人間の器の違いを感じる。それに、松重豊はあれやこれや頼む。頼みすぎるんじゃないかというくらい頼む。そりゃあ高級店じゃないからそのくらいの金額は大したことないだろうという話だが、貧困に3/4足突っ込んでるおれからすると夢のような注文だ。だが、彼は注文する。ガツガツいく。たまらない。
 というわけで、ドラマ『孤独のグルメ』はおれの代わりに松重豊が食うシステムなのである。空しい話か、夢のある話か知らぬ。おれは血糖値が上がるのもこわいし、痛風もこわい。そのあたりは安心できる。が、これも器の小さな話である。いつかおれもあれやこれや注文してガツガツいける日が来るのだろうか。あるいは、無一文で定食屋に入ってそれをやって、「警察呼んでください」というあたりが現実的なのかもしれないが。
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孤独のグルメ 【新装版】

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孤独のグルメ2

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