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クジラを喰うこと

クジラの刺身はうまかった。生肉のようであり、魚の刺身のようであり、そのどっちつかずの、どっちもありの、妙な混ざり具合がなんともいえない。

おれは食べ物としてのクジラが好きである。いつだったか、親戚の集まりで出てきたクジラの竜田揚げなど、今でも思い返せるくらい美味だった。

おれは食材としてのクジラが好きである。とはいえ、これを理由に食文化だのなんだのという言葉を使ってクジラ漁の肯定意見として提出する気はない。

人の家の裏庭みたいなところの海で、その人たちが嫌がる漁を行うなんていうのは、あまり面白い話じゃないとは思うからである。とはいえ、おれはクジラが食いたいので(価格の問題でそういつも食べられるわけじゃあないけれど)、クジラ漁反対! とも言えないのである。

そういうおれはあいまいな意識のまま、ときどき贅沢をするつもりで、半額シールの貼られたクジラの刺身などを買う。これでいいのか。まあこんなもんでいいだろう。おれは意識の低い人間である。