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これはラーメンが獣臭い―『その夜の侍』を観る

 

 『その夜の侍』である。これを撮った監督が、新作の紹介にラジオに出ていて興味をもった。なにせ出演者がすごい。堺雅人山田孝之新井浩文綾野剛である。おれには「新井浩文が出ている映画にハズレはない」とかいう持論があるので(今つくったかもしれない)、これは観るか、となった。

ストーリーは妻をひき逃げで殺された堺雅人が犯人の山田孝之に「お前を殺しておれも死ぬ」という脅迫状をカウントダウンで送り続け、復讐に向かうというもの。

結果、このキャストに満足感である。真田信繁と義兄弟の加藤清正に対して、この人間のクズっぷりがすごい、ラーメンが獣臭い、ウシジマくんと会津中将。あ、山田孝之綾野剛って『新宿スワン』でもやりあってたじゃねえの。というか加藤清正は肉蝮か。いろいろ複雑に絡まり合っておる。まあこのあたりが、今の日本の俳優のメーンというところだろうか。この作品は2012年のものだが。

と、キャストはおいといて、この映画は会話の映画だ。かわされる、ほんとうにしょうもない「他愛のない話」がおもしろい。それはときにほんとうにくだらなく、それはときに残酷で、非日常からパッと現実(具体的なチェーン店名の数々)に飛ぶあたりとか、なんともいえない。ラブホテルでの熱唱もよかった。おれは演劇とかはまったく疎いが、監督が舞台のほうの人でこれが初映画監督だとか、そういうあたりはよくわからなかった。よくわからなかったが、いい方にころんだんだろうと思う。そして、人間の極限のところをむき出してみせるあたり、これはラーメンが獣臭くていい映画だと思った。うん。


映画『葛城事件』予告編

新作を映画館に観に行くかはわからん。