ゆけゆけ二度目の『シン・ゴジラ』 蒲田くんの進化、そしてトドを殺すな

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ゆけゆけ二度目の『シン・ゴジラ』。封切り直後に観て、二度目の鑑賞。またIMAX。今度は後ろめの席をチョイス。そして今度はパンフレットも買った。

ここまで約1ヶ月。ネットには『シン・ゴジラ』の情報があふれていた。おれはそれを読んだ。読んで、ずっと『シン・ゴジラ』を見続けているような気にすらなっていた。

とはいえ、おれは最初の『シン・ゴジラ』で一点の見逃しがあった。ラストカットである。おれはそこに人型があることに、あるいは「巨神兵」のような型があることに気づかなかった。視線を切ってしまっていたかとも思った。再度の鑑賞。おれはたぶん視線を切っていたのではなく、気づけなかったのだと思った。

あるいはこんなところ。

 

生命の形態学―地層・記憶・リズム

生命の形態学―地層・記憶・リズム

 

上段の魚(引用者注:ラブカ)は「古生代」のデボン紀に起原を持つ軟骨魚類の一種で、古代ザメの代表と呼ばれる。

p.33

 

 われわれは、胎児が、受胎1ヶ月後の、ホンの数日の間に、古生代から中生代を経て新生代にいたるほぼ3億年の歳月を、いわば瞬時に凝縮させて通り過ごすさまを現実にこの眼で観る。そして同時に、人類の祖先が中生代では当時の爬虫類の、さらに古生代では古代魚類の、それぞれ一員として生存していたことを、ひとつの実感として想い浮かべるのである。

p.33

「蒲田くん」のモチーフがラブカであることは、パンフレットではっきりと書かれていた。

「……最初に上陸する第2形態は頭部が深海魚のラブカみたいですけれど、あれは陸に上がった両生類の感じです。……」

シン・ゴジラ』パンフレット p.26

 なんとまあ、たまたま三木成夫を読んでいたが、思わぬところでつながった感はある。個体発生は系統発生を繰り返す、ということの真偽はしらぬが、本作のゴジラに関しては個体で進化している。劇中の台詞でも出てきたことだが、あえて「ラブカ」を選んだところに「ちゃんと作ってるんだな」と思わざるをえない。

「ちゃんと」という中にはやはり政治のやりとりも欠かせないだろう。「害獣駆除でも武器無制限だよ」という話なんかもあるらしいが、やはりリアルそうに見える。その「ちゃんと」がすばらしい。


トドを殺すな/友川かずき

ちなみに、自衛隊が害獣駆除でトドを殺したことについての歌がこれである。弾着!

初回との記憶違いもあった。「洋光台」のテロップは引いた画面にかぶさっていたように思っていたが、アップのシーンだった。どうでもよいことか。あと、鎌倉の文学館の「館」の字をはっきりと見つけることができた。どうでもよいことか。

大人気の尾頭ヒロミ(市川実日子)さん。おれは初回鑑賞時の感想にも特によかったと書いていたが、やはりよかったが、なんというか初回のときのよかった感が強かった。それはやはり二度目ということで、蒲田くんの「なんだこれは?」がないのと一緒だろうか。

あるいはCGI。初回鑑賞時合成だろうと思っていたら、メイキング動画で、「これ、全部そうだったの!」というやつ。やはり本物にしか見えない。すごい。もし「ハリウッドはもっとすごいんだぞ」とか言われても、おれにとってはわからんのでどうでもいい。


『シン・ゴジラ』白組によるCGメイキング映像

あらためて書くが、公開前の正直なところ、庵野秀明監督にはEVAをどうにかしてほしいし、いまどき『ゴジラ』なんか作らないでよ、と思っていた。それがどうだろうか、社会現象とまでいっていいかわからぬが、『シン・ゴジラ』は強烈な一撃だった。おれはそう思う。そして、なにかに阿るところ少なく庵野総監督の「どうだ!」という全力に参ってしまう。在来線爆弾に参ってしまう。白旗である。庵野秀明の次の仕事がEVA続編でなく『シン・ゴジラ2』でも同じくらい期待してしまう、そこまでの作品だったと思う(もっとも『2』で同じように政府内会議ものをやられたら、それはいいんじゃないの、と思うことだろうが)。

いずれにせよ、未見のやつは今すぐ観ろ、一回観たやつはもう一回観ろ、と言いたい。……とか言ってるおれは「とっとと三回目行け」と言われるのかもしれないが。

 

シン・ゴジラ音楽集

シン・ゴジラ音楽集

 

 ……怪獣大戦争のマーチが頭からこびりついて離れない。

 

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