プレゼントにもってこいの本を教えよう

今週のお題「プレゼントしたい本」

……これについては持論のようなものがある。「無人島に持っていきたい一冊」でもなければ、「自分の生涯で五本の指に入る本」でもなく、「もし本なんていうプレゼントに本来向かないものをだれかにしなくちゃならないとき、この本ならちょっとかっこよくね? センスよいって思われたりしね?」という本だ。そういう意味で、長いこと温めてきた本だ。

ずばり、これである。

 

フローラ逍遥

フローラ逍遥

 

 ……うーん、どうだろうか。ちょっと狙い過ぎか。というか、無意識に「おれが女の人にモテたくて」と考えてしまっているか。それ以前に、澁澤龍彦って中二病的か? プレゼントにって。でも、これは美しいハードカバーの本で、挿絵も美しく、女性も好む澁澤御大の美文だって堪能できる。花束を贈るより花を贈れる。そんな気がする。そして、これは、おれの好きな本でもある。そして、おれの好きないろいろな本の中で、プレゼントに向いているような気がしてならない一冊なのである。

と、その一冊から一文でも引用しようかと、押入れから探し出そうとしたが出てこない。もう、だれかを口説くのに使ってしまったのか? そんな記憶はない。

そんで、やっぱり言うけど、本のプレゼントってどうなんですかね? めったに会わない人とか、一期一会ならなんだけど、そうでなかったりしたら、「あれ読んだ?」のプレッシャーってのが発生するじゃない。それでもって、おれなんかは自分で買った本なのに、気分が乗らないと読まない、というか読めない、という性質の人間なので、そういうのきついのである。

いっちゃなんだが、漫画ならまだしも、文章を読むというのはそれなりに骨の折れる仕事だからだ。よっぽど相手の趣味を理解したうえじゃなきゃ、おいそれと選べるもんじゃない。そして、趣味が合っていなきゃそんなの理解できそうにないし、趣味が合っていると「あ、これ読んだわ」になりかねない。なあ、やっぱりリスクが大きいよ。嫌いな相手に嫌がらせでいきなり吉本隆明の『心的現象論本論』(おれは「序説」で挫折しました)を送りつける、とかいう方が楽だよ。おれはそう思うね。それじゃ。

 

毒薬の手帖 (河出文庫)

毒薬の手帖 (河出文庫)

 

 死んで欲しいやつにはこれでも贈るか? ……逆に殺されるか。