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意識の低いやつから声あげろ!

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レールに乗る乗らない関係の話題をなんとなく追ってたんだが、結局のところ耳目を集めるのは高い意識、意欲、そして能力のある人間の記したものが多く、おれはおおいに失望した。おれはもっと意識の低い、意識低い系の人間の声が聞きたかった。失敗者の話が聞きたかった。聞き逃しているとしたら、おれの意識が低いから、面倒でネットの隅々まで見ていないからだ。ネットの隅々まで見たら気が狂うと思うが。それにしたって、ただやる気がなくて、怠けたくて、人生から降りたようなやつの話がもっとあったっていいじゃないか。

いつも思うのだが、どうにもインターネットは意識が高くて困る。意識が高くて成功している人間か、意識の高さが先走っている段階で馬鹿にされている人間か、意識の高さでその両者にコメントするようなやつらばかりだ。はてな界隈だろ、と言われればそうかもしれない。ともかく、全体的に意識が高まっていて、なんだかんだいいながらまともな収入や家庭があったりして、どうにもおれの足ではプールの底につかず、溺れてしまうような気になってしまう。そんな水位では困ってしまう。

なんでおれが困るのかというと、なんでだろう。おれにはよくわからない。ただ、自分と同じか、自分より低いところにいる人間を見て安心したいという下卑たところもあるのだろう。どうだ、この、おれの意識の低さは。おれはおれよりやる気のある人間を見ても、鼻白むだけで、おれも頑張ろうとは死んでも思わない。

そんなやつは少数派か、マイノリティか、マイノリティ・リポートか。たぶんそうなんだろう。夢を叶えた人間が夢は叶うと言う息苦しい世界。ただ、われわれ(というものがあるとして)にはそれに対して抗議の旗を掲げることができるだろうか。旗印はなんだろうか。六文銭を描くくらいなら、六文ほしい。六文って今のお金でいくらくらい? じゃあ、スローガンはなんだろうか。「楽して生きたい」、「働きたくない」、「ボケっとしていたら切り株にうさぎが激突しないものか。あ、でもうさぎがかわいそうだし、だいたいうさぎなんて捌けない」とか、そんなんじゃ錦の御旗にはなりはしない。声のあげようがない。当事者でないものが味方になってくれない。そもそも敵が相手にしてくれない。

「傲岸、卑屈、執念 ―これが階級社会を反映した組織の枠内に必ず起る精神の三位一体である」埴谷雄高は言った。おれには傲岸さが足りない。卑屈さは足りている。執念はあるのか。あるいは、こうやって、声にならない声、世間からも、弱気を助ける正義の人からも味方されない声を、なんとか絞り出しているのは執念か。卑屈な執念で、おれはこの世にこんなくだらない人間がいるんだと言いつづける。

「僕らは今の音頭取りだけが嫌いなのじゃない。今のその犬だけがいやなのじゃない。音頭取りそのもの、犬そのものがいやなんだ。そして、一切そんなものはなしに、みんなが勝手に躍って行きたいんだ。そしてみんなのその勝手が、ひとりでに、うまく調和するようになりたいんだ」と大杉栄は言った。そうだ、犬そのものがいやなんだ。おれは勝手に踊っていたいんだ。おれのようなダメ人間も勝手に踊ればいいんだ。みんな勝手に踊って、調和していけばいいんだ。そのためには、どうすりゃいいんだ。おれにはわからない。青い空と白い雲を見て、そのうちなんとかなるだろうと思える時代じゃないんだ。金がなければ心配する余裕もなく自死か路上か刑務所に追いやられるだけだ。多くの人は人殺しの顔を隠しながら生きてる。おれは殺すし殺されるだろう。

ああ、しかし、下着で笑いながら生きていきたい。できれば人殺しの顔なんてしたくはねえ。人を殺したくもねえ。でも、殺さなきゃ生きられない。自分の心を殺しでもしなきゃ生きていけない。意識が高くなきゃ生きていけない、意識が低い人間は生きていけない。もっとおれに楽をさせろ。おれに金をくれ。なにがいけないんだ。この世界か。革命が必要なのか? 革命が……。

 ところで、花田清輝よ、蜘蛛の巣のかかった何処かの隅にいるのんべんだらりとした革命家は、いったい、如何なるところから生じたのか。その答えも、最も単純である。それは、彼が革命家だったからである。彼は、革命家となった彼の原則を最後まで貫こうとしたため、のんべんだらりとした革命家として、ただ未来のみを唯一の同盟者としてもつことになってしまったのである。彼は自身を未来の無階級社会よりの派遣者として感じている。しかし、彼のもつ革命方式が組織の中で凄んでみせる革命家たちの方式とあまりに違うので、彼はその生存の時代の実践のなかに席を持つことができず、何処か蜘蛛の巣のかかった古ぼけた隅におしこめられてしまったのだ。このような疎外者を、歴史は異端者と名づけるのだろう。異端者とは、何か。権力を握らぬもの、または、権力を握り得ぬものである。それは非権力者から反権力者に至るまでのすべてを含む。つまり、異端者とは、メフィストフェレス、破門者、反抗者、単独者、デカダン、自殺者、不平家、あまのじゃく、孤独者、潔癖家、予言者、警告家、空想家、おせっかい、おっちょこちょい、こまっしゃくれ、道化、独善家、芸術者、逃亡者、等である。

 

永久革命者の悲哀埴谷雄高

 

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