ゆるくないゆり『私の少女』を観る

 おれがこの映画を知ったのはシネマ・ジャック&ベティだった。ポスターが貼ってあったのだ。おれはもうそのポスターに一目惚れしてしまって、「映画観てないけどポスターだけ売ってください」というくらいのものだった。結局、タイミングがあわずに劇場では観られなかった。
 というわけで、「ポスターが美しい」以外の事前情報あまり知らずに『私の少女』を見始めた。都会(ソウル)でなにか問題をおこし、ど田舎の漁村に左遷された女性所長。村で唯一の「ヤングマン」ということで、やんちゃ(不法滞在外国人をこき使うなど)を警察ぐるみで見逃されている男、その男と血のつながりがなく、いじめや虐待を受けている少女、(改造三輪?)スクーターで爆走する漫☆画太郎の漫画に出てきそうなババア……、そんな人達が織りなす話である。
 そしてまあ、あまりネタバレはしたくないので何を書くかというと、主人公である女性所長を演じるペ・ドゥナの美しさである。いい感じに、その年齢なりにナチュラルに美しい。左遷されてきたエリート女性警察官、コンビニでアホほど焼酎(みたいなハードリカー)を買って、依存症がばれないようにミネラルウォーターのボトルに詰め替えるハードボイルドさ、そして作品を左右するある要素(ってわかっちゃいますかね?)っぽい身のこなし、服の着こなし、全部いい。ペ・ドゥナのファンになったといっていい。『グエムル』に出ていたようだが(アーチェリーの人?)、まあいい。今回からでいい。
 そして、いじめ、虐待を受けている少女も名演技といっていいんじゃないだろうか。とくに後半から冴えてくる。ダンスシーンも素敵。これも『アジョシ』の子らしいが、まあおれは人の顔と名前を覚えるのがひどく苦手だからどうでもいい。それにその継父役なんかも寂れた漁村の中で鬱屈したものを抱ええつつ、小山の大将でもあり、アルコール依存症っぽくもありと、なかなかにリアル。
 つーわけで、田舎の疲弊、憂鬱、マイノリティへの偏見やらなんやら、いろいろの切り口を持ちつつ、決してPC的に優等生な映画、という枠にもとどまっていない怖さもあって、なかなかによかった。そしておれはやはりポスターほしいなとか思うのである。おしまい。

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