ベン・H・ウィンタース『世界の終わりの七日間』を読む

地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

カウントダウン・シティ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

カウントダウン・シティ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 ……ときて、三部作最後の『世界の終わりの七日間』である。「……ときて」ときてはなんなので説明すると、地球に小惑星が衝突することが確定した世界で、ある刑事(あるいは元刑事)が探偵役となって謎を明かしていく話である。SFであり、ミステリである。地球人類が滅ぶというときに、人々がどうなるか、世界がどうなるかというSFである。一方で、主人公はぶれることなく刑事であり元刑事であり探偵役なのである。

世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 ここまできても、まだ納得できない。信じられない。こんな世界になってしまったことが。私が生まれ、警察官になるのは、どんな世界でも、いつの時代でもよかったのに、よりによってこの世界、この時代だったとは。

 といったところで、「ここまできてしまった」のである。
 内容については……あまり話すとおもしろくない。ネタバレしたくない。とはいえ、感想はといえば「まあまあかな」というところだ。無理にでもそっちの方の話に乗っていってぐわーっとやる方法もあったろうが、それは選ばなかった。そして、選んだのはわりと地味な方だった。とはいえ、舞台が舞台なので、地味ゆえに滋味がある。が、なにかこう、突破力が感じられなかった。読んでいてそう思った。
 が、ラストはいいんだよ、ラストは、ラストって、本当に作品が終わる最後の最後だ。そこんところがなんともいえない。二作追ってきて、三冊目読んで、「読んでよかったな」というところには着地している。おれはそう思った。この著者の次の作品は「南北戦争が起こらず、いまも奴隷制度が続くアメリカで逃亡奴隷を追う捜査官の物語」らしい。『高い城の男』? 感もあるし、捜査官なのでミステリでもあるだろう。楽しみにしたい。

追記:これ(http://togetter.com/li/932767)読んでてこの三部作思い浮かべたわ。