やったんか? やったんやろ?『ネアンデルタール人は私たちと交配した』


 ここ数年、おれのなかでネアンデルタール人が熱い。はてなブックーマークでもネアンデルタール関係のチェックは増える一方だ。つまりは、ネアンデルタール人について科学の世界でも熱いということだ。

ネアンデルタール人は私たちと交配した

ネアンデルタール人は私たちと交配した

 とはいえ、一冊の本も読んでいなかったので、とりあえずこの分野の第一人者というか発見者というか、この人の本を読んでみた。
 が、こう言ってはなんだが、それほどおもしろくはなかった。おれの興味は「私たち」がネアンデルタール人とやったのか、やらなかったのか、その一点にあるのだ(そして、その血統を受け継いでるのかどうか、というのが本当のところか)。そういう意味では、著者の研究者としての経歴や、バイセクシャルであることなどはあまり興味ないのである。おまえの交配はどうでもいいから、ネアンデルタール人とやったんか? やらんかったんか? それである。
 それの結論は本書の最後の方に出てくる。そのあたりは面白いところで、さあどうだというところは内緒に……って、本のタイトルでネタバレしとるがな。というか、やっていた説の人の本なのだし、やっていたということになるのである。そしてそれは、アフリカ人には見られず、ヨーロッパ人などに見られるという。『家畜人ヤプー』では黄色人種(日本人)だけがネアンデルタール人の末裔という設定だったっけ。ある意味では逆なのか。まあ、人類の中には黒い山葡萄原人から進化したグループもいるという可能性もあるわけだが(ないですか)。
 まあヤプーはどうでもいいとして、「これが最前線の研究というものか」というような気にはなった。現代人のDNAの混入になにより気をつけ、複数の機関でチェックして……。と、そんなのが気になるのは小保方晴子の一件があったからであろう。あの一件(完全に終わったのかどうかわからないが)によって、なにかしら気付かされたことがあったといっていいものかどうか。
 しかし、なんでおれは「ネアンデルタール人と現生人類がやったのかどうか」が気になるのか。なんていうか、そこには……ロマンがある。オリバー君ではないが(『ヤプー』といい康芳夫だな。いつだったかテレビでクローン人間をどうこう言ってたが、「ネアンデルタール人を復活させた」くらいのことはやってほしい)、異なる生物同士の交配があったのかどうか。それも私たち現世人類が、だ。当時の現世人類が、自分たちとよく似ているけれども異質なもの(という知識はなかったにせよ)を交配し、子を作ったのかどうか。文化と文化の交流はどうだったのか、そもそもコミュニケーションはどうだったのか。あるいは、ネアンデルタール人の遺伝子を持った人間になにか有利な事態になって人類が良くも悪くも繁栄したのか、デニソワ人はなんなのか……。人間にも人種という、ある視点から見たら大きな違いがあるけど、ネアンデルタール人なんてもっともっと違ったわけで、その違いがどう交わったのか、そして一方は淘汰されたのか。べつの地球上文明の可能性もあったんじゃないのか。考えだすと面白くてたまらない。
 というわけで、ネアンデルタール人に興味のある人、あるいは真っ当な遺伝に対する知識を持つ人(おれはそうではないわけだが)、科学の手順や最前線にいる人(おれはそうではないわけだが)、まあ読んでみなよって感じにはなった。そしてまた、この本の内容がビシバシ否定され、新しい発見がなされていくことを期待したい。

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