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佐藤大輔さんの訃報

mainichi.jp

おれは佐藤大輔の代表作というものをよくしらぬ。まったくしらぬ。「あれが完結しなかった」という嘆きの言葉を見ても、その作品のことをしらぬ。

だが、何冊は読んでいる。

d.hatena.ne.jp

 震電、秋水、橘花……、男の子ならだれだって、そんなのが好きになる時期があるじゃあないですか。え、主語が大きい? そりゃ失礼。けどすくなくともおれにはあった。今だって好きといえば好きに決まってる。

 中学生のころ、そんな妄想世界に浸らせてくれたのが佐藤大輔架空戦記ものだった。そして、佐藤大輔はすごかった。なにがすごいって、文章がすごいんだよな。読んでいて、つっかえるところなくスラーっと読める。リニアモーターカーが滑るような、そんな印象が今でも強く残っている。良し悪しはべつとしても、そんな滑らかな文章ってのは、なかなか出会えない。だから思わず繰り返し手にとって読む、そんな記憶がある。

おれが「佐藤大輔」の名を見て思い出すのは、彼の文章であった。おれもそれなりかどれほどかわからないが、いろいろな本を読んできた。読んできたが、佐藤大輔の文章ほど滑るように読める文章はほかにないように思える。それが理想の文章なのかどうかというとよくわからないが、あの疾走感というか、あるいは単に「読みやすさ」だったかもしれないあれは、やはりすばらしいものだったと思う。Wikipediaなど読むと、作品の設定などに関する強い思い入れが伺えるが、おそらくは文章についてもたいへんにブラッシュアップされていたのではないか。

それにしても52歳。おれが中学生時分に読んでいたころは何歳だったのか。若い。そして惜しい。あるいは完結にひどく時間のかかった名作というものを読む機会を逃してしまったのかもしれない。

 

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