女と大戸屋に入った。同じ定食を頼んだ。違いがあるとすれば、おれはそのときあえて五穀米でない方、すなわち白米を選んだというだけだった。
品物が来た。
あれ? 女の方にしょうゆ色した液体調味料の入った小鉢が一つ足りない。店員さんを呼ぶ。
「おなじものを頼んだんですが。この鉢がこっちにしかついてなくて。向こうにはないんですけど、なにか別のものが紛れたんですか? それともつけ忘れですかね?」
と訊いてみる。
「はい! 少々お待ち下さい」
と、その店員立ち去る。小鉢を持ってくる……のではなく、先輩バイト的な人を連れてきた。
「おなじの頼んだ。こっち鉢一つ多い。向こうない。余計なものついてきたか? それとも向こう足りないか?」
と訊いてみる。
「……はい! 少々お待ち下さい」
と、その二人立ち去る。小鉢を持ってくる……のではなく、バイトリーダー的な人を連れてきた。
「この鉢、こっちある。向こうない。おかしい」
と訊いてみる。
「アッハイ、こちらのつけダレが足りてないようです。今すぐお持ちします」
鉢来る。飯食う。飯食い終わる。
女、大戸屋のポイントカード出す。今回は溜まっている。おれに渡す。一食分サービス。
レジに行く。ポイントカード出す。店員さん、なにかポイントカード精算の操作する。なにか悪銭苦闘している。
「少々お待ち下さい!」
なにやら先輩バイトみたいな人を連れてくる。
「……同じ商品二点で……片方だけ、ポイントで……」
「少々お待ち下さい、出し直します」
先輩バイトみたいな人操作する。
先輩バイトみたいな人失敗する。
「少々お待ち下さい」
先輩バイトみたいな人、バイトリーダーみたいな人連れてくる。
「アッハイ、わかりました」
なにやら操作する。バイトリーダー見事に精算終える。
「大変おまたせしました」
おれ、レシートとお釣り受け取る。
思えば、最初の件はメニューと見比べればすぐに「この小鉢が足りないのですが」と言えたはずだ。
レジでは「会計別々に」と言えばあっさりいったはずだ。
大戸屋で二度三度。
こちらにも非がある。
そんな日もある。