2017年横浜市長選ステークス

 わたしは悲しかった。

 わたしは「現代名文全集」に必ず載っている「城の崎にて」の哀れな蜂の死躰のように悲しかった。

 わたしが蜂だったら、絶対に志賀直哉の前で死ななかったのに。

 蜂さんたち! どうせ死ぬならリチャード・ブローティガンの前で死ねば良かったのだ。

高橋源一郎ジョン・レノン対火星人

 

 というわけで、おれは横浜市長選に行った。おれはよき市民であり、よき投票者である。

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おれはまず、投票にあたってひとつのことを決めていた。長島一由には入れない、ということである。

goldhead.hatenablog.com

となると、残りの候補者は林文子現市長か、民進党を離れた江田憲司の元秘書の市議である伊藤なんとかさんということになる。

選挙の焦点はなにか? カジノの是非、中学生の給食……らしい。カネのないキモい独身のおっさんのおれにとって、中学生の給食などどうでもいい。じゃあ、カジノだ。おれはカジノ誘致に賛成だ(林市長が当選したらカジノが来る、という話でもないだろうが……)。競技自体の売上が上がっているのかどうかわからぬが、ともかくボートピア横浜が寿町にできたおかげで、市内の公園の整備のカネになったという話を聞いた。給食、図書館、なんでもいいが、カジノのカネをあてればいいじゃないか。もちろん、カジノで赤字という可能性もあるが、じゃあ他のカジノ否定の二人の候補者に稼ぐ手立てみたいなものがあるの? と思った。

どうも、企業誘致にもそれなりにやってるみたいだし、稼ぐ方向について(ボリュームダウンしたとはいえ)カジノ肯定の林文子以上のなにかがあるの。そう思った。カジノができたら治安がどうだ、病的ギャンブリングがどうだ、闇金がどうだ、そんなのはなんなんだ。ボートピアができてから、道案内兼警備員がそこらに立つようになって、むしろ治安はよくなったように感じるぜ。それに、病的ギャンブリングいうならパチンコはどうなんだ。カジノなんて、ドレスコードをどうにかするくらいで、紳士・淑女の遊び場になるぜ。おれなんてとてもじゃないが入れないぜ。そんなもんだろう?

おれは、官が(菅が?)手動するカジノが絶対に成功するとは思えない。思えないが、なにもしなければジリ貧だ。

と、いうわけで、「長島だけはイヤ」なので「林なんとか」、「伊藤文子」にして0.5票にしてしまおうかとか考えたが、結局林文子に入れることにした。おれはあまり安倍政権も菅義偉Wikipedia読んでみてほしい、苦労人なんだけどな)にも好感を持っていないが、林文子に持てる限りのチップを賭けてみた。馬鹿にするやつは馬鹿にすればいい。それでもおれはこう投票したんだ。最悪の馬鹿が、馬鹿げた投票をしたんだ。その責任を持って生きなければいけないんだ。民主主義とかいうのは、いい制度なのか?