基本的に死ぬまで治らない抑うつ状態 Low & Low

 

マンガ お手軽躁うつ病講座High&Low

マンガ お手軽躁うつ病講座High&Low

 

おれは双極性障害(II型)……まだ躁うつ病といった方が通りがいいのか……という診断を受け、治療を受けている人間である。もう2年くらいになるのかどうかわからない。II型というのは躁転したところで軽躁、おれは健常者の健常な状態に届くか届かないかというところだ(おれが健常者であったことがあったのか?)。まあ、基本的に死ぬまで治らない抑うつ状態といっていい。そんな風に思っている。

思っていて悲惨な日常生活を送りつつ、たまに同病者のことが気になる。働き盛りのサラリーマンであれば同業者のことが気になったりするところだろうが、おれの場合は同病者だ。同病者のこと、そして双極性障害の最新の知見。これが「たまに」気になる。気づくとオートマチックに薬を飲んで、希死念慮でドロドロの毎日を送っている、それではいけない。

というわけで、上記の……ちょっとというか、けっこう古いが……本なんかを読んでみる。著者は漫画家・イラストレーターで双極性障害の当事者(おそらくI型)だ。派手な生活、リストカット、自殺企図、入院と、けっこう厳しいものがある。厳しいものがあるが、夫と子供がいたりする(……自分以外の収入があるのはうらやましい……)。「母親がいきなりキレた挙句、自傷しだすなんてきついだろうな」などと思ったりもする。……あんまりお手軽じゃねえな。でも、リストカットして血が流れていくと悪いものが出ていくようだ、なんて同感してしまう。

あとは、なんだろうか、これは時代なのか医師の主義なのかわからないが、躁転の可能性がありながら抗うつ剤が処方されていたりする。おれは双極性障害と大うつ病はべつものとは思っているが、抗うつ剤が人間の精神に影響を及ぼすものではあろう。なんか精神的に元気のないやつは医者に行ってもいいけど、個人ゆ(略)したら生きやすくなるかもしれない。

しかし、それにしてもI型は少しうらやましい。大借金を背負ったり、すごい自傷したりする可能性があっても、躁状態、ハイになれるからだ。おれの人生にハイはなかった。これからも無いだろう。頭を金属バットで殴られるようなイメージで無理やり起きて、身体に鞭打っておれができるていどの仕事をして、わずかなお賃金をもらって(三ヶ月前から月に五万円しかもらえていないけど……この遅配はなかったことになるだろう。おれはそのうちいろいろなライフラインが止められて、安アパートを追い出されて、残飯を漁ることになるのだろうか)、あとは酒を飲んで寝るだけだ、死ぬだけだ。なんで生きてんだ。まったくわからない。かといって、死ぬ気力もない。

おれも昔は無垢で美しい円柱だったのに、削られ、捻じ曲げられ、汚され、道端に転がって、カラスも避けて通る。これが生きるということなのか。了解しているよ、まったく。