指名手配されている殺人犯。漁港で、東京のゲイ社会で、沖縄の離島で身元があいまいな人間な三人。はたして、だれが？ という内容。ネタバレなしで観た方が楽しめることだろう。
三者三様というか、三舞台三様、お互いにまったく絡み合わない三舞台で、観るものをして「いったいどれが？」と、目が離せない。いろいろのミステリはあるが、こういうのは珍しいのではないだろうか。
というわけで、話については観てもらうとして、役者陣を褒め称えるくらいしない。おそらくは渡辺謙を筆頭に、警察役のピエール瀧まで、日本映画界のマーベラスな面子が揃っている。それはすばらしいものに思えた。
とはいえ、犯人の「怒り」がいかなるものか、これが明らかになっているわけでもない。でもまあ、そういう性格なのだろうと思えば、そうなのだろうか。そのあたりもあまり触れたくはない。いずれにせよ、観て損はねえぜ、とは思う。良作、佳作である。
