映画『ハクソー・リッジ』を見る

 

正月休みの最後には、ドンパチやる戦争映画でも見てやろうということで、見た。

おれは非常に野蛮で政治的に正しくなく、思慮のひどく浅い人間である。ゆえに、こういう映画を見る度に、「米兵、死ね、死ね、どうせ勝つのはわかってるんだから、一人でも多くぶち殺せ」と思うのである。日本軍にせよ、ドイツ軍にせよ、ともかくそう思うのである。

その点で、本作は、日本兵が「てんのうへいかー」、「うてーうてー」、「しゅりゅうだんだー」と言うばかりの、シューティングゲームの敵兵みたいな扱いであったにせよ、いくらか米兵をぶっ殺し、身体に損傷を負わせた点で評価できるといえる。死傷表現、傷跡表現については、かなりの水準にあるといっていい。

その負傷兵をいくらか救ったのが主人公なのである。良心的兵役拒否者ながら名誉勲章を貰ったという珍しい人なのである。殺さずの誓いをもって逆刃刀ですらなく、ライフルに触ることなく、ただひたすらメディックとして戦場を這いずり回るのである。宗派はセブンスデー・アドベンチストということである。

セブンスデー・アドベンチスト教会は人類の不幸について考えるか? - 関内関外日記(跡地)

して、おれは日本も米国も俳優のことなどあまり詳しくないが、主人公、なにやら微妙にこの世からズレた感じのする、ちょっとひどい表現をすればちょっとキモい感じがよく出ていて、適役! といわざるをえないのであった。

全体的にいえば、主人公の出自や訓練所でのことなどがやや長く感じられ(軍曹が兵隊たちをどやすシーンは『フルメタル・ジャケット』へのオマージュかね?)、もっともっと戦場を、というところはあった。それでもボリュームはある方だろう。あれだけ火炎放射器の炎が飛び交う戦場シーンというものも珍しいだろう。それで、火炎放射器背負ったやつが背中を撃たれて爆発したシーンには拍手をおくろうじゃないか。

まあ、そんなところだ。結局のところアメリカ人は日本人をキチガイのクソ猿としか思っていないのは確かだろうと、そんなところはしっかりと確認できる映画であって、その点もすばらしいと思ったのであった。以上。