この世のすべてはパロディなのか? とんねるずの思い出

みなさん最終回 2人は「フジテレビを」「おちょくるなよ」と替え歌/芸能/デイリースポーツ online

演奏が終わると、石橋が「『みなさんのおかげでした』は、きょうで、これまで」と声を震わせて語り、木梨憲武と一緒に「バーイ!センキュー!」と頭を下げた場面で番組は終了した。

おれの小学校には一年生と二年生用に増築された新校舎があった。旧校舎とその新校舎をつなぐ通路を「わたり」と呼んでいた。渡り廊下の略だろう。おれが一年生だったか二年生だったかのある日、その「わたり」で友人たちが「変身!」だとか「おのれジョッカー」だとかいい始めて、ごっこ遊びを始めたのである。

仮面ノリダー」。おれもすぐに虜になった。だから、おれにとっては「仮面ライダー」よりも先に、「仮面ノリダー」があったといえる。長いこと、本来の「ショッカー」という言葉に馴染めず、「ジョッカー」がおれの中にあった。

とんねるずのみなさんのおかげでした。』最終回を見て、そんなことを思い出した。「ノリダー」の回顧はもうやってしまったのかどうか知らぬが、そんなことを思い出したのだ。最終回は音楽を振り返っていた。見ていて思うに、MCハマーはもとより、あのマイケル・ジャクソンですら、おれはとんねるずのパロディで知ったのではないか。それにしても、若い二人のダンスのキレッキレなことよ。

そして、野猿のよくわからぬ大ブーム、あったなあ。でも、あんまり覚えてないなあ。そのころには、興味は別に移っていたのかもしれない。紅白に出たとき「NHKすごい!」と思ったりしたのは覚えているが(今では当たり前だろうが、そのころのNHKは今よりずっと硬かった)。モジモジくん野茂英雄が出たときはびっくりしたっけな。

というか、『とんねるずのみなさんのおかげです。』と『でした。』、あまり区別がついていない。最近は、あまり観た記憶はない。というか、たまにチャンネルが合えば「食わず嫌い」を見たり、やや積極的に「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」を見たりしたが。しかしまあ、子供の頃に見た『おかげです。』とはつながりを感じることはできなかったな。この二つの企画は面白かったし、たまにやってもらいたいものだが。

で、最後のとんねるずの『情けねえ』だ。「人気のとんねるず長渕剛を歌わせただけ」とかいう批評もあったように思うが、おれは「ああ、なつかしいな」と思った。ひょっとしたら、シングルCD(8cm)を持っていたかもしれない。バラエティは滅ぶのか、フジテレビはおちょくられつづけるのか。おれにはわからない。しかし、ここは原曲と違う、というのは即座にわかった。

そして、最後の「バーイ! センキュー!」。「これがあったか!」というよくわからない感慨を抱いた。言ってた、言ってた、それ言ってたわ! と。

おれはもうそろそろ40歳になるが、30年続いた番組があって、それが終わる。物心ついたときからあって、それがなくなる。「おならじゃないのよ」と意味もわからず言っていた小学生(それにしてもひでえ下ネタを子供に見せてたもんだな)が、立派でもない落ちぶれた中年男性になるまで続いた。まったくもって、長すぎたといえるのかどうか、おれにはよくわからない。とりあえずこう言ってしめるべきだろう。

バーイ、センキュー。