優生思想の内面化と反出生主義

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数日前のはてな匿名ダイアリー

子供作りたい?

結婚しても子供は作らなくていいって考えてる男の人ってどれくらいいる?

おれは結婚自体縁遠いアンダークラスなので、そもそもこの問いの対象ではないが、どんなものかとはてなブックマークを覗いてみた。

はてなブックマーク - 子供作りたい?

ちらほらと、発達障害などを理由に子供を作らないという人がいる。

もし、仮に自分が子供を作るかどうか考えてる立場にあったらどうだろう。これはもう、ぜったいに作らない。

おれの持つ双極性障害という病は、一卵性双生児の調査などから、遺伝性があることがわかっている(確実に遺伝するわけではないが)。とはいえ、病の原因も根本的な治療法もわかっていない。加藤忠史先生の本にそう書いてあったような気がする。

というか、それ以前におれはこの社会に適応していない。心底そう思う。そうやって、社会の底辺をもがき苦しみながら生きている。そして、我が父を見てみれば、これまた社会に適応しきれずに人生に失敗して、いろいろなクレーマーになって、まわりに迷惑をかけながら重度の糖尿病をも患い(医者とかならず喧嘩になるので病院にも行かなくなった)、惨めな日々を送ってる。死んだほうがいいだろう。そして、おれの全兄弟である弟はといえばそろそろニートの定義から外れてしまう年齢になるニートだ。

幸せの血統ではないのだ。この社会で幸せに生きられる可能性が低い遺伝の組み合わせをもって生まれてしまったのだ。病むべくして生まれ、健やかにと命ぜられ。

このような不幸の人間が、半分自分の要素を受け継いだ、不幸な性格や病気の可能性を持つ確率の高い人間を、はてして幸福に育てることができるだろうか?

不幸の再生産は避けるべきである。わざわざこの世に苦しみを増やしてはならない。

これに尽きる。

もちろん、他人には勧めない。これはおれの考えだ。おれによるおれの内心だ。それにすぎない。自分で選びとった自分にのみ適応される優生思想、反出生主義。

とはいえ、おれのようなものも少なくないのでは、と思わせるのが冒頭のブックマーク。いや、案外、多いのではないか。もしも、国が少子化対策をとるというのであれば、まずは今生きている人間の幸福度を上げ、自分が生きるに値する人間であると思わせること、この幸福を自分の子供というものに受け継がせたいと思わせること、そういったことも必要だろう。おそらくはジャガイモの生産量を倍増させるほうがずっと簡単なことだろうが。

おそらくこの国、あるいは先進国は、病気と遺伝の関係などを多くの人が自覚、あるいは検査によって確定されることになり、子を作らぬという判断が増えるのではないだろうか。

逆に、幸福を約束されたような遺伝子を持った人間、結果的に社会で成功している実績のある血統を持った人間は子を作るだろう。

社会は少数の幸福者のみによって、世界はよくなっていくのかもしれない。それはそれで悪くないだろう。自分の劣った遺伝子を残さないと自分で判断できること。ダーウィン進化の世界の「淘汰」を先回りする。生物のなかにあって人間にだけできることかもしれない。おれは霊長類の顔をして、子を残さず、死ぬ。

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