我らがメキシコ、ドイツを破る!

おれは自分が視聴できる範囲にサッカーメキシコ代表が現れたら、それを応援するということになっている。メキシコのサッカーは見ていておもしろいからだ。かといっておれはサッカー全般についてあまりおもしろいという思いを抱いていないのだからおかしなものだ。日本代表の試合などやっていれば見るが、なんとなく日本を応援するばかりであって、サッカーの妙味のようなものは一向にわからない。しかし、メキシコの試合は見ていておもしろい。出ている選手の素性だとかはあまりしらない。名前すらしらない。しかし、メキシコ代表の試合は期待を裏切らない。だから、メキシコの試合を見る。応援する。

というわけで、メキシコ代表の試合を応援するために、昨夜は夕食後に一眠りした。なにか金縛りのようなものに遭った。仕掛けておいた携帯端末の目覚ましよりすこし早く起きて、コーヒーを飲んだ。こんな時間にコーヒーを飲んだらどうなるか。でも、おれはメキシコの試合を見たいのだった。

試合がはじまった。敵は世界に冠たるドイツ。大柄で筋骨隆々、威風堂々、きっちり揃えた金髪の見事さには、なにかこう、「我がアーリア人は世界一」と言いたくなってしまう気持ちもわからないではない、などと東洋人のチビ助は思ってしまう次第。

一方で、メキシコはといえば、なんというか身体のサイズでいえば一回り小さく感じる。そのあたりで、「日本代表はメキシコサッカーを目指すべきか」論などが出てくるのもわかる。

とはいえ、現時点でメキシコ代表の個々の力量と日本代表の個々の力量には差があるように思える。いや、本田圭佑がそれなりの活躍をしているのだからそんなに差がないのかもしれないが、やはりメキシコが上だろう。

本田の話はいい。メキシコの話だ。メキシコは試合開始後から鋭いカウンターを繰り出す、繰り出す。そのスピード感はたまらない。どんどん左サイドから侵入を繰り返す。カウンターにかける人数もリスクを伴ってのものだ。開始二十分くらい、「やれるんじゃないか」という気になる。時間が経つのが早い。

そして三十五分、ハビエル・エルナンデスから左のロサノにパス、鋭く一人交わしてシュート! これがノイアーの腕をすり抜け、ドイツゴールに突き刺さる! 思わず、深夜一人で「よし!」とつぶやき、小さく拍手。

後半になると、先にメキシコの監督が動く。プロフェッサーと呼ばれているらしい。奮闘していたベラを交代、さらに先制点のロサノを交代、じわじわと自陣を固めていく。攻撃も前半のような鋭いカウンター一閃というものから、いったんキーパーにまで戻すなど、余裕を持ってボールを回すシーンが増える。攻撃に緩急をつけている。時間を使っている。いかにも試合巧者という感じだ。そして、最後の交代でラファエル・マルケスを投入。5-4-1というのか、ともかく自陣の駒組みは終わった、というところ。

しかし、ドイツも次々に攻撃陣を投入して、何度もゴールを脅かす。が、なかなか中に入れない。解説者は何度も「打たされたシュートですね」という。キーパーのオチョア(前回かその前はクラブチーム無所属だったよな)も落ち着いている。

そして、試合終了の笛が鳴る。ボール支配率は4:6、シュート数は13対26、敵陣ペナルティエリアでのプレーは実に15対49。相手にボールを持たせてカウンター一閃、あとは守備にギアを入れたということではないだろうか。そのこのところ、事前に用意していたシナリオ通りというか、いくつもあるシナリオの一つだったのだろう。チームの集中力も統率も崩れるようなところがなかった。もしも先制されていたらいたで、攻撃的な選手交代とフォーメーションが用意されていたことだろう。

しかし、ともかくまだ一勝である。なにが起こるかわからない。なにせそれを自ら証明してしまったともいえる。グループリーグ突破、さらにその先まで夢をみたい。

……そしておれはなかなか眠れなかった。カフェイン効かせてサッカーで興奮し、禁酒日を破りテキーラを飲んだおれに、睡眠薬がなかなか効かなかった。追加の睡眠薬を入れるついでにちょっとテレビをつけたら、ブラジルの試合をやっていたが、すぐに切って寝た。朝は辛かった。なんとか出社して、大阪の地震のことを知った。

 

(アディダス) adidas サッカー メキシコ代表 ホームレプリカユニフォーム半袖 DSZ93 [メンズ] DSZ93 BQ4701 カレッジエイトグリーン/ホワイト L