スウェード『ザ・ブルー・アワー』を聴くが……重いのだ

 


Suede - Flytipping (Trailer)

くるりのニューアルバムが届いたと思ったら、suedeのニューアルバム『the blue hour』が届いた。これは困った。いや、べつに困らない、けど、やっぱり困るかな。でも……。

……でも、もうあんまりSuedeには期待していない、というと酷な感じだが、今の路線とはいまいちしっくり来ていないところがある。もちろん、おれは1993年からのファンであって、おれには思い出のデビューからの三部作があって、それは美化されている。Suedeも歳をとったし、いつまでもポップでパンクなチューンをお届けするわけにもいかないだろう(そういうバンドもあるのだろうけれど)。

というわけで、前作、あるいは前々作と含めて三部作か、どうもその、なんかこの、ねっとりと重厚で、なんというの、音楽用語しらんから表現しにくいけれど……長い悪夢のような、まとわりつくような曲というのは。


Suede - Life Is Golden (Official Video)

だから、なんというか、全曲感想を書こう、という気もおこらない。すべて同じ色に塗りつぶされているように感じる。アルバムのタイトルを借りれば青、濃い青色だろう。いや、よく聴いてみるんだ、お経みたいなところとか、えーと、なんかちょっとポップなところもあるだろう。でも、なんかこう、もうずしりと重石を背負わされたような気になってくる。

むろん、作り手ではなく聴いてるほうの事情というものもある。事情というか、体調、心理状態、そういったものだ。おれはいま、それがよくない。よくないところに、引きずりこんでいるのか、引きずりこまれているのか。


Suede - Don't Be Afraid If Nobody Loves You (Official Audio)

ただ、歌詞カードを読めば、そこには昔から変わらぬ、Suedeの根底のようなものがたしかにあって、「おれはこの曲が聴きたいな」と思うのである。が、聴いてみると、なんかちょっと方向性が違うんのや。重いのや。MVもアルバムのジャケットもこんなに素晴らしいのに、ああ、肝心の音楽となんかズレてる。もう20年にもなるのだ。Suedeはあっちこっち歩いて、おれもあっちこっち歩いて、ずっと寄り添ってるなんてことはないのだろう。

とはいえ、おれはなぜかくるりの新譜よりも、こちらの重苦しい世界に自分から出向いて、勝手に苦しんでいる。そういう精神状態なのかもしれない。荒野や荒廃、死んだ小鳥、違法廃棄されたゴミの中へ……。