2018年・日本シリーズ第5戦 カープ終局へ……

f:id:goldhead:20181101235934j:plain

baseball.yahoo.co.jp

 

おれは「丸をベンチスタートにすることはないが、スタメンでの打順降格を支持する者」であった。だが、緒方監督はタナキクマルを維持した。それは一種の賭けであるように思えた。もちろん、打順の組み替えが博打であるように。

とりあえずの丸は不発だった。しかし、下位打線で地味に一点取った。カープらしいと思った。

これは上林誠知のレーザービームである。上位打線が上位打線といえないような状況において、相手のワンミス、いや、普通のプレイを狙っての本塁突入は致し方ないように感じた。ソフトバンクは難なく普通のプレイをしてみせて、本塁で刺してきた。負けである。

このイニングはもったいなかった。相手も中四日先発の千賀。疲れが見え始めていた。なのに、拙攻で相手を助けてしまった。積極的に振っていくというのもチームの基本姿勢としてはいいかもしれないが、ここでは制球の定まらない千賀を見ることも大事だったのではないか。

これは柳田への四球のシーン。Twitterのタイムラインは審判への非難が多かったが、放送された真上からのカメラを見ると、内角しっかり外れていた。残念、ボールだった。いろいろ審判への文句が多い試合だったが、おれの印象としては「球審はどちらにも辛い」だった。

で、これだ。前日から思うことだった。DHによって攻撃の幅が増したはずなのに、逆にスタメンに縛られてしまって、総力戦に持ち込めなかった感。もう、この試合ではそうも言ってられないだろう、と。

そして、丸である。丸のところでモイネロが出てきた。早い交代だ。セ・リーグでいえばラミレス監督のマシンガン継投といったところか。ともかく、工藤監督は左対左の交代(左対左、だけではないのだろうけど)を仕掛けてきた。打者は9月、10月と成績を落とし、日本シリーズでも不調の丸佳浩

おれはそう思った。

そして丸はホームランをぶち込んだ。正直、丸が解凍されれば勝てるんじゃあないか、そう思った。

が、一点差は一気にひっくり返してくるのがホークスでありパ・リーグのチームだ。

で、大瀬良がピンチを招いて交代。左打者だったし、いきなりのフランスア投入もありかと思ったら、ヘルウェグだった。カープファンにとってもまだ秘密兵器のヘルウェグ。

死球などのヘル投法で同点にされる。

と、そこでいきなり會澤翼のホームラン。なんとかテラスかなんだかわからないが、とにかくラッキーゾーンみたいななにかに入ったのだ。打てる捕手、ここにあり、だ。

そして、予想より少し早く、フランスアの登板。いや、おれにしてみればヘルウェグのところで早めにフランスア投入というのもありかと思っていたけれど(そのあと中崎までずっと投げろという意味ではなく)。ともかく、今、カープで一番信用できる投手は誰かといったら、フランスアだろう。どの先発より、どのリリーフより、信頼できる。

そのフランスアが抑え、代打新井のシーン。ここは賛否両論あるだろうし、おれは代打新井を支持したが、松山でいってもよかったと思う。おれの中でも割れている。結果、新井さんは凡退した。だが、チームが一丸となってぶつかっていく、空気の醸成というものにはなったように思う。運だとか、流れだとか、そういったものがどれだけ意味のあるものなのか、データに基づいたものなのか、そもそもデータとは関係ない妄想にすぎないのか……。でも、なんかあると思うのよな。

でもって、フランスアが打たれた。打たれたけど、つぶやいたことに尽きる。それほど、フランスアはすごい。故郷に家も建てたし、自動車も贈る。カープは年俸のほかに、マツダのカーを二台、三台と贈るべきである。

とはいえ、内心おれはこう思っていた。「丸が今年FAで出ていくかもしれない」というのも要素だが、たとえ丸が残留してくれたとしても、他のセ・リーグ各球団が自滅的アシストを来年もしてくれるとは限らず、主要野手と若手との間に年代の穴があることなどから、今年こそ、なのだ。そして、新井さん最後の年として、今年こそ、でもある。

そして、菊池。送りバント。盗塁死のほか、「ここで送らない?」というシーンがいくつかあったシリーズ。手堅くバント。

成功!

が、回ってきた丸の当たりはよかったものの、相手の好守に阻まれる。なにかこの世に、運だのツキだのはあるのだろうと思えた。

そして、鈴木誠也が四球で歩いたあとの場面。新井さんに代打、曽根海成くんである。曽根くんの役割は送りバント。甲斐キャノンで盗塁は封じられても、犠打による進塁という足技は使える。というか、同点でのしびれる場面、チームの顔への代打として出てきて見え見えの送りバント。これを決めるのは大変なことである。

だが、曽根くんは決めてくれた。古巣、といっても一軍出場があったかないかのソフトバンク相手に、日本シリーズで決めてくれた。正直、トレードの話があったときは「一年後、二年後が楽しみだな」くらいに思っていたものが、いきなり今年の日本シリーズのベンチに入り、肝心の場面で代打に出てくるとは思いもしなかった。

が、あとは続かなかった。

というわけで、サヨナラホームラン打たれて負け。

おれは悲観主義者なので、「せめて二勝はしてくれ」という低い低いハードルを設けてシリーズに望んだ。だが。最初の二戦を一勝一分でしのいだところで、「敵地三戦で一つでも取れれば勝負になる」とか思ってしまった。が、一個も取れなかった。特に今日は、総力戦をやってみせたのに敵わなかった。やはり、ソフトバンクの方が一枚も二枚も何枚も上手なのだろう。リーグの力量差、というものも前提としてあるだろう。

というわけで、カープは死んだ身なのである。おれの当初の目標としては、二勝。せめて、広島に帰っての一戦目で維持くらいは見せてくれ。そう願うのみだ。もちろん、それ以降に持ち込めたなら、一球一球応援しよう。いつだってカープを応援しよう。

それでも、一度死んだ身、という感じが強い。ゾンビランドカープである。ゾンビの粘りでソフトバンクの犬を泥沼に引きずり込む。そんな妄想もしている。しかし、客観的に見て、もう今年の日本シリーズの大勢は決した、そう思う。あとはもう、新井さんの花道だとか、そのあたりだ。一つでもいいシーンを見たい。それだけだ。

おれは35年ばかりカープファンをやっているが、最後の日本一のときにはまだ物心がついていなかった。それからカープはリーグ優勝もできなくなり、阪神と横浜と一緒に底辺をさまよう存在となった。それが今はリーグ三連覇のチームだ。せめて、意地を、と思うしかないじゃないの。な。