平成三十一年 年頭所感

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少しくたびれた靴は履き心地がいい。

もこもこに服を着込んで僕はドアを開ける。

清冽な空気が身体に染み渡って、吐く息は白い。

僕はただ、光の射すところに向かって歩みだす。

さようなら、住みなれた部屋。

さようなら、住みなれた街。

そんなに大きくない荷物を背負う。

ときどきかえりみることもある。

歩みは遅くても、ただまっすぐに進む。

さようなら、住みなれた国。

さようなら、住みなれたことば。

僕はただ、光のある方へ向かって歩みだす。

吐く息は白く、吸う息は冷たい。

新しい場所へ、新しい居場所へ。

こんにちは、見知らぬ人。

こんにちは、見知らぬ街。

どんなところにも太陽の光は届く。

どんなところにも陰がある。

さようなら、寒い部屋。

さようなら、寒い街。

こんな言葉が世界に届かないとしても。

いま、一羽の小鳥が死んだとしても。

僕は、歩くのをやめない。

そんな決意を、した。