朝、おれはシャワーを浴びる。このところ仕事も忙しく、疲労が溜まっている。朝もつらい。シャワーを浴びながら、半分寝てしまっている。
そんな朝、ようやく髭を剃り終わって、お湯を止めようかと思ったとき、いきなりシャワーから水が流れてきた。冬の冷水だ。やばいくらい冷たい。「ガスが止まった!」。おれはそう思った。
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さて、ここに残った汚れた魂の皆さん、話を続けます。とりあえず確認するべきは、「ガスが止められた」のか「給湯器の故障」なのかだ。タオルで身体を拭き、裸のままガスコンロへ向かう。押し、回す。なにか、手応えがない。火がつかない! 取って返して、給湯器の操作パネルでいったんオフ、そしてオン、またユニットバスに入ってお湯の蛇口を回す、冷水! 操作パネルの温度欄は「11」という数字を出して点滅している。
これは、ガスが止められた状態だ。おれはそう判断した。思い当たることとしては……、昨年末にガスの支払いにも使用しているメーンのクレジットカードが不正利用されて番号が変わった。その際に、一時的に別のカードにし、新しいメーンのカードが届いて、そちらに変更した。この二度の変更によって何かしら「支払いの穴」が生じてしまったのか。
あるいは、あまり考えられないことだが、おれは電気の支払いも東京ガスに一本化する申込みをしている。安くなるのか? どうかしらん。ただ、電気とガス、検針票を二枚用意してスマートフォンで撮影して送信したら一本化できるという、「そんなことできるの?」という興味本位で申し込んでしまった。それに伴う、なんらかの「穴」。そんなところだ。
未払い、ということはないはずだ。おれは貧乏だが、いきなりガス代が支払えなくなるほどの貧困ではない。というか、事前の警告もなしに、冬の朝、シャワーを浴びているときにガスが止まりますか? ちょうど終わるときだったからよいものの、身体の泡を流しているときだったりしたら、心臓麻痺とかありますよ、という話だ。
というわけで、東京ガスに連絡……と思うも、今朝は朝一番にしなくてはいけない仕事があって、とりあえず出社。その作業を終える。東京ガスのマイページ的なところにログインする。1月分の支払いは終わっていないが、「未払い」みたいな警告はどこにもない。そして、ガスが止まったみたいなFAQを読むと、「ガス漏れ」とかいう言葉が目に入る。ガス漏れしてて、どこかの不動産屋の店舗みたいにアパートが吹っ飛んでる、というのは面白くない。事情を話して、アパートに戻る。なぜかわからないが、脚に疲労があった。
10時半ころ帰宅。東京ガスに電話。お客様番号や住所を伝えたあと、事情を話す。「こちらでガスを止めているということはありません」との回答。少し安心。「在宅ですか?」というので「そうです」と答える。すると、ガスメーターのリセットを誘導してくれる。
さて、おれのアパートは4部屋ある。ガスメーターも2個ずつ離れた場所にある。ガスメーターの部屋番号はかすれて消えてしまっている。ただ、レバーが横になっているメーターがひとつあり、おれの横の部屋は空室だ。「たぶんこれだと思うのですが」とおれ。ガスメーターの番号を伝えるおれ。「あれ、違いますね。でもいいです」と大雑把にリセット方法を知らせる電話先。黒いキャップを外して、ボタンを押し込み、三分くらい経ってランプの点滅が終わったら、復旧するし、問題ないだろうとのこと。ランプは点滅していないし、押し込んでもランプに何事もない。だが、とりあえず電話を切る。うーん?
と、一応、反対側の2個のメーターの方を見る。と、一個点滅してるメーターがあるじゃあないの。つまりは、こういうことだった。
おれの先入観。
「1階A室、1階B室」と「2階A室、2階B室」の組合せ。
だが、実際は。
「1階A室、2階A室」と「1階B室、2階B室」の組合せだったのだ。
考えてみたら、配管の長さ的に、後者が合理的だ。おれはランプが点滅しているメーターのキャップを外して、ボタンを長押しした。ランプが点灯する。3分かどうかわからないが、しばらくするとランプが消える。おれは部屋に入る。コンロをひねる。火がつく。給湯器をオンにしてお湯を出す。お湯が出る。
復旧。
会社に戻る。
しかし、なぜ止まったのか。
東京ガス : ガスご利用ガイド / ガスメーターの役割と安心機能
●長時間、一定量のガスが所定の時間以上流れ続けた場合(家庭用と一部の業務用)
おそらくは、これだろう。おれが、「所定の時間」以上、半分寝ながらシャワーを浴び続けてしまったのだ。たぶんそうだろう。ああ、なんというガス代の無駄。そして、冷水による生命の危険。気をつけよう。シャワーを浴びながらウトウトするのはやめよう。心底そう思った。そして、関係ないのにリセットボタンを押してしまった2階の住人になにか問題が起こらなければと思うばかりである。
以上。
あ、べつにガスが止まってなからといって、「ほしい物リスト」でなんか贈ってくれてもいいですよ(強欲)。