シューベルトの、眼鏡! 『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』展(国立新美術館)に寄るのこと

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クリスチャン・ボルタンスキー展を見終えたあと、女がいろいろの展覧会のパンフを手にしながら言った。「これ、おもしろそうじゃない?」。

それは、『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』だった。いつ、どこでやっているのか。今、ここ、国立新美術館で。

というわけで、いったん建物の外に出て、外の販売所でチケットを買った。こっちの展覧会は、外でしか売ってないので。

「贅沢ね」と女は言うが、おれは「電車賃が浮くのだから節約です」と言った。

して、日本・オーストリア外交樹立150周年とのことである。当時のオーストリアは、オーストリア=ハンガリー二重帝国だったらしい。二重帝国って字面、妄想が膨らむよな……。

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まあ、それはどうでもよろしい。世紀末ウィーンをモダンの幕開けと捉えて云々、という展覧会である。だから、美術作品以外もいくらか展示されている。最初の方にはメッテルニヒアタッシュケースというのがあって、なんかテンション上がった。

が、もっとテンション上がったのはフランツ・シューベルトの眼鏡」であ

る。あ、あの肖像画の眼鏡の本物! 眼鏡置いてある! なんかつるの部分が折りたたみみたいになっている! レンズちょっと割れてる!

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と、思ったら、その肖像画の本物も横にありやがんの!(ヴィルヘルム・アウグスト・リーダー作)。これはもう大笑いしたな。もちろん、心の中で。しかし、シューベルトの夜会の絵なんかもあったけど、パーリーピーポーやな、シューベルト

あとは気になった作品名を挙げていくと……。

フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラーという人の《教会に向かう春の道》とバラの季節》は絵に光があってよかった。

あとから沢山出てくるクリムトだけど、旧ブルク劇場の観客席》というのは、都市再整備でなくなる劇場の様子を記録した絵なんだけど、100人くらいの観客を緻密に書いてて、なんかすごかった。フランツ・ヨーゼフ一世から皇帝賞をもらったらしい。

ハンス・マカルトの美人画(?)、ドーラ・フルニエ=ガビロンhttps://www.fashion-headline.com/article/21690/11)、手に持っているのはなんなのかわからなかった。女は「糸鋸ではないか」と言ったが、違うと思う。知ってる人がいたらコメント欄にでも書いてください。あ、絵はとてもよいです。ハンス・マカルト全般。

あとは、またブツになるけど、オットー・ヴァーグナーカール・ルエーガー市長の椅子》https://artexhibition.jp/wienmodern2019/features/20181219-AEJ53334/)というのがあって、時代や地域を吹っ飛ばすくらいの代物であった。たとえば、現代アフリカの民芸品である、と言われても納得してしまうような。

それでまあ、クリムトとなると、今回の見どころのひとつパラス・アテナ》か。もう一つは《エミーリエ・フレーゲの肖像》か? だが、おれはクリムトというと、《人生は戦いなり(黄金の騎士)》が一等好きなのでした(いつかの琳派展で見た)。

あとは、なんか場所的にポツンと展示されていたヴィルヘルム・リストの《白と黒の絵画》というタイトルの人物が、いい具合によかった(←どういう感想だろうか?)。

それとなんだね、クリムトなどが所属したウィーン分離派というののポスター類などが充実していたけど、デザイン、文字などあまり惹かれず。ウィーン工房の食器やなんだはかっこいいけど、まあ「いいものだな」というばかりで。

で、もうひとりの主役になるのかエゴン・シーレ。有名な《自画像》が来ていたんだけど、これ、思ってたよりサイズ小さいのね、と思った。シーレは素描が何点も展示されていたんだけど、なんというかシーレっぽいゴツゴツのラインでなく書かれたそれは、ようわからんがともかくうまいのだ。かっこいいのだ。《マリア・シュタイナーの肖像》にあふれ出ている自信のライン、力強さは必見。

あとはあれだ、グスタフ・クリムトの写真だ。ネコを抱いてる写真だ。

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肖像写真というでもなく、単にネコを抱いてるおっさん、なのだが、なんとも味があって面白いと思った。思ったら、主催者側もそう思ったのか、土産物のところでこの写真をTシャツ、このときクリムトが着ていたスモックを元にしたTシャツ、さらには立体キーホルダーにまでしていたので笑った(買わなかった)。「シューベルトの眼鏡」グッズあったら買うのにな、とか思ったらトートバッグがあってそれも笑ったけど、トートバッグ必要ないのでスルーした。そんなところ。

あくまで、『クリスチャン・ボルタンスキー』ついでに寄ったのだけれど、作品数はこちらが多く、また人もずいぶん多く、わりと疲れた。

 

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一階のカフェでアイス・ソイ・ラテを頼んだら、ものすごく甘かった。まあ、疲れは取れるけれども。

そんなとこ。

 

 

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グスタフ・クリムトの世界-女たちの黄金迷宮-

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