きみは養老乃瀧で飲んだことがあるか?

日本に住む人間をおおまかに四つに分けるとすると、以下のようになると思う。

  1. 養老乃瀧で飲んだことがある人間
  2. 養老乃瀧で飲んだことがない人間
  3. 養老乃瀧で飲んだ覚えはないが実は飲んだことのある人間
  4. 養老乃瀧で飲んだ覚えがあるが実は飲んだことのない人間

以上である。

おれは、3の可能性がありながらも、2であると自覚している。

ところで、石川町の中華街側の話である。そこには古い養老乃瀧があった。なにか工事で臨時店舗になった。臨時店舗が閉じて、新店舗になった。ロゴが新しくなった。

f:id:goldhead:20190530153159j:plainこれが「古いロゴ」である(下諏訪町)。

そして、これが「新しいロゴ」である。

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まあ、いずれにせよ、おれは養老乃瀧に行ったことがないと思うている。それで、「おれは養老乃瀧に行ったことがない」と言ったりした。すると、一度くらいは養老乃瀧もいいだろう、ということになった。会社の、飲み会である。我社は新年会や忘年会もろくに開かず、会社のメンバーで飲むということは、年に一回あるかないかである。そこで「おれに養老乃瀧を体験させる暑気払い会」が開かれることになってしまった。おれとしては、会社の金で飲み食いできるので悪い話ではない。

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割り箸の包装紙に「安心の養老乃瀧グループ」とあった。おれはたぶん和民でも飲んだことがないが(グループならあるかもしれない)、チェーン居酒屋というもの「安心」がキーワードなのだろうな、などと思う。従業員の安心はともかくとして、養老乃瀧や和民であれば、ぼったくられる心配がない。厳密には違うかもしれないが、全国一律の値段だ。怖いお兄さんが出てくることもないだろう。これは、庶民にとってありがたい話ではなかっただろうか。もちろん、個人経営の良い飲み屋というものもあるだろう。だが、インターネットのレビューの影形もない時代、冒険をせずに済んだのは大きのではないだろうか。

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一杯目はサッポロ黒ラベル生中ジョッキ、そして、次に頼んだのが「養老ビール」だ。サッポロが作っている、養老乃瀧専用ビールである。飲んだ感想といえば、手の混んだ「第三のビール」の方が複雑な味をしているような気がするが、ともかく養老乃瀧に来て、養老ビールを飲まなくてどうするか、という話である。

その他、養老乃瀧メニューはどうだったか? 全般的にわりと濃い味である。刺し身は量が少なく感じた。本日のおすすめメニューの中のとくに安いサービスだったエビのつみれのなにかは値段を考えると非常に満足できた。

そして、酒、酒。おれは中ジョッキのあと、養老ビール、そして、日本酒、日本酒、日本酒といった。日本酒といっても、そこらのスーパーで買えるものである。とはいえ、おれは私生活で日本酒と刺し身、というのをやらないので、辛口中心に日本酒を頼んだ。最後に烏龍茶を頼んだ。そしておれは牛丼を頼んだ。

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養老乃瀧の牛丼というと、なにかしらあるらしいが、まあともかく頼んだ。牛丼屋のミニのサイズくらいだろうか。けっこう飲み食いしていたので、腹一杯になった。けっこう、飲み食いした。サラダ、チーズのなにか、ソーセージのなにか、エビのなにか、焼き鳥の盛り合わせ、刺し身の盛り合わせ、枝豆、漬物、ポークなんとか、それぞれの酒、茶漬け、牛丼、最後に緑茶。

いくらになるのか? 結果として一人あたり4,500円となった。おれは「少し高いな」と思った。おれの基準は鳥貴族ややきとりセンターである。とはいえ、すごく高いかというと、値段を気にせずにみんなあれこれ頼んだ結果ならば。まあそんあところだろうか。

なんというか、なにか(鳥など)に特化しない、チェーン居酒屋らしい居酒屋でいろいろ頼めばこのくらいのものだろう。たとえば、ふらっと一人で訪れて、養老ビールに牛ザラ、ピザ、あたりですませばわりとコストパフォーマンスもいいのではないか。

ちなみにこの養老乃瀧の石川町店、テーブルに付いているとわからないが、お手洗い(改装直後だからとてもきれいだ)に入ると、すぐ上を走る京浜東北線の音が響いてきて、エモいのである。おれはエモいという意味を知らないで使っているのだが、まあ、なにかしら雰囲気がある。

というわけで、たまにはあなたも、養老乃瀧に行ってみるのもいいかもしれない。ある種の、本当にある種の、ちょっとした贅沢ということになるのかもしれない。「それで贅沢?」という階層の人も多いだろうが、おれのようなものには、「あえて養老乃瀧」でそんな思いをした。それだけのことである。以上。