Local Green Festival 2019 感想

Local Green Festival


おれ、四十にして初めてフェスというものに行くことになった。女が「くるりがローカルグリーンフェスというものが赤レンガ倉庫あたりである。行かないか」というのである。女はおれより二十年上である。「フェスいいですね」ということになった。

おれは、くるりのライブ以外に行ったことがない。行きたいアーティストがいないわけではないけれど、なんとなく女に誘われるままにくるりのライブに行ってきた。おれはくるりを愛しているので、それらはすばらしい体験だったのだが、そろそろ別の体験もしたかったのだ。それがフェスとなれば、いろいろな空気が体験できるだろう、と思った次第。

「フェス」の感想

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個々の演者の感想は後にして、おれがローカルグリーンフェスについて感じたことを書き残す。2020年のローカルグリーンフェスがあったとして、その時の役に立てばいい。

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まずはなんだろう、「そんなに混んでないな」というのが第一感である。歩いていける距離に住んでいるので、開場の30分前に行ってみたが、それほど行列もできておらず、開場時間になると列がスルスルと進み、出入場用のリストバンドを装着してもらい、一番上の写真にあるワンドリンク分のコイン(?)と、なぜかハーブの種がもらえる。ワンドリンク500円は現金払い。ライブハウスならよくある話だが、フェスでは珍しいのだとか。

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さて、会場に入ってどうしよう。ベースを作るのがいいだろう。ベースといってもテントなんかは持ち込み禁止だ。レジャーシートだ。日陰がいいだろう。居場所を確保して、貴重品だけ持ち歩くようにすればいい。

混雑具合というのは、横浜みなとみらい界隈のイベントにありがちな大行列というものはなかった。飲食物、トイレ(女性はちょっとわからんが……)、それほど大変ということはなかった。

客層はというと、ベビーカーの子供連れから、「この夏はフジロックが最後だと思ってたよ」とか話してた人とか、なんというか、変な表現ではあるが、怖い人はいないんじゃないのかという。

服装はというと、これは年によって違うと思うが、8月の最終日、9月の初日あたりの関東地方、これは夏である。日焼け止め、帽子、タオルなどは必要だろう。ただ、たまに涼しい潮風を感じるのは立地のよさだろうか。

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雨が降ったらどうなるのか。そのあたりは初フェスのおれにはわからない。傘というのはありなのか、なしなのか。一応警戒して100円ショップで雨合羽など買って行った。今年は晴れていたので、芝生部分にもたくさんのレジャーシートがひかれていたが、雨になったら、どうなんでしょうね?

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あとはよく知らんのだけど、CACTUSというステージとSOLというステージがあって、交互にステージがあるので、あっち行ったりこっち行ったりしているといいと思う。無料ゾーンもあるが、今回は行かなかった。

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まあ、そんなところ、サイトには「飲食物持ち込み禁止」とあるけど、出入り自由ですぐそこにあって「グリーン」の部分を担っているおしゃれサボテンの店なんかがある赤レンガ倉庫は内なのか外なのかはよくわからない。ただ、有料会場内はアルコールと甘い飲み物ばかりなので、水、お茶などは確保してくのがいいと思った。あと、グリーンフェスなのでペットボトルを捨てるときは外装とキャップは外すように(言われる)。

まあ、必要なものはこんなところ?

  • レジャーシート
  • 雨合羽
  • ペットボトルの水とかお茶
  • 貴重品を身に着けておくためのなにか
  • レジャーシートの上に置いといていいなにか
  • 日焼け止め対策のなにか

わかんねえけど、こんなんでいいんじゃねえの。なにせ、出入り自由だし、出たら商業施設もまったくねえわけじゃない横浜よ。そんなところ。ただまあ、水分は大事。二リットルのペットボトルの水飲んでる人もいたけど、あれはさすがに邪魔と思うが、予備を忍ばせておくくらいでいい。

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じゃあ、2019年のおれが聴いたアーティストの感想、時系列。

 

jazztronik

ジャズトロニック。なんとなく名前は聴いたことがあった。ジャズっぽいなにかだったと思う。途中から外国人? の若い女性ヴォーカリストが出てきて、野崎良太さんが「彼女が出てきてしまうと自分は伴奏おじさんになる」とか言ってた。

 

Jazztronik Studio Live Best

Jazztronik Studio Live Best

 

 

SPECIAL OTHERS ACOUSTIC

アコースティックではない場合もあるらしい。まったく知らなかったのだけれど、インストゥルメンタルのバンドで、なかなかおもしろかった。ペンギン・カフェ・オーケストラじゃないけど、えーと、なんかヴォーカルなくても、楽しいもんは楽しいよな。メンバーの一人がチンギス・ハンの肖像画にそっくりらしく、「モンゴル800どころじゃない、モンゴル900だ」、「向こうはモンゴル0だ」、「次の曲は『小さな恋の歌』って冗談で言ったら、やりにくくなった」などと激しいディスを繰り広げていた(誇張あり)。この中盤あたりで女が「休みたい」というのでベースに戻った。体調が悪いのかというとそういうことでもないらしい。

 

Telepathy (初回限定盤)

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NITRO MICROPHONE UNDERGROUND

「ニトロが出る!」というのは、すでにチケットを買ったあとに、追加ラインナップとして出てきて知った。おれはもうそれから、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDくるりをしのいで一番の楽しみになってしまった。

……というのはなぜかというと、おれが日本語ラップというものに足を踏み入れたときに、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDにたどり着いて「これはすごい、これは完璧じゃあないか」と思った。思って、いったん日本語ラップから離れたくらいなのだ。

と、その時期というのは、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDが活動しなくなって何年も経った時期であって、おれはアルバムを買い集めるだけだった。なので、はっきりって「なんかラップのすごい人たちが集まった伝説的なグループ」という認識で終わっていた。参加メンバーのその他の活動まで追ったりしなかったのだ。

で、そんなおれのなかの幻みたいな存在が、出てくるというのだ。生で見られるというのだ。おれはもう、携帯端末に入れてあるNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの曲を繰り返し聴いては、「ナイチョー、ナイチョー」とぶつぶつつぶやきながら関内あたりをうろうろしていたくらいなのだ。

で、いよいよのナイトロ、女は「まだ休みたい」というので(まあさすがに興味もないのだろうが)、おれ一人でステージの方へ。おお、出てきた。だれがだれだ? なんだ、でもいいぞ。ああ、これは聞き覚えがあるぞ。ああ、かっこいいな。でも、「四十代の話は滑りがち」、「いきなりの子供自慢」など、ただひたすらにかっこいいなというCDの中の人たちでないこともわかった。わかったのはよかった。かっこいいぜ。ちなみに、このエントリ打ちながらナイトロ聴いてるんよ。

NITRO X 99-09(コンプリート盤)(DVD付)

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大橋トリオ

ここから女が復帰。「大橋トリオ」→「Nulbarich」→「くるり」に体力を温存しておく作戦だ。

大橋トリオ……トリオじゃないというくらいしかしらない。出てきたのはなんかやけに裾の長い衣装で出てきた、すごく人の良さそうなオダギリジョーのような人だった。一曲目を歌い始めてすぐに「暑い! 衣装を間違えた!」とぶちまけたので好感度が上がった。なんでも、一月くらいに話があって、九月=秋のイメージでいたらしい。そんな早く衣装決めるものなのかね。

大橋トリオの演奏が終わったと同時に、大さん橋の方で汽笛が鳴って、ダイヤモンド・プリンセスが出港した。

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THUNDERBIRD

THUNDERBIRD

 

 

Nulbarich

さて、Nulbarich(ナルバリッチ)である。フェスの前日というとか、時計は零時を回っていたか、女からメールがあり、「NHKに出ている」という。チャンネルを合わせると、たしかに出ている。しかも、密着の長いドキュメンタリだ。「これで予習はばっちりだ」と思った。

が、実際に出てきたJQというのは想像以上にぶっ飛んで、素っ頓狂で、魅力的なアーティストだった。なんか、クネクネ奇妙に踊る。おれのなかで、ヴォーカルがクネクネ奇妙に踊るバンドはいいバンドということになっているので、それだけでももうオーケーだ。その上、言うことが面白い。「自分の中でローカルグリーンフェスはニトロ聴いてヘドバンしまくってむち打ちになった時点で終わっていた。どうやってキャンセルしようか考えていた」、「小学校の先生が歌うように言うような曲は歌わない」、「人体のほとんどは水でできている」、「急性アルコール中毒になったときにブドウ糖液を点滴するらしい。だから、ラムネと一緒に酒を飲むと酔わない。ラムネはやばい」、「話が宗教法人みたいになってきた」、「話が無事不時着しました。今の話は最後の曲とは関係ありません」……。

で、肝心の演奏は、音楽はどうだったのよ、というと、踊らせてくれるのよ。これはすごいよ。おれを含めてNulbarichの音楽をまったく知らない人もいるだろうに、バイブスが至っているのよ。とくにラストの……曲名は知らないけれど、サビのいいところを客席に歌わせて、もちろんおれは知らなかったけれど、すぐに覚えられて、あれはよかったな。一体感だな。海に感謝。ライブ先で、あとから音源聴きたくなったな。というか、またライヴで見たくなったな。

 

Blank Envelope

Blank Envelope

 

 

くるり

さて、大トリのくるりである。Nulbarichのあとにもう一つのステージでm-floだったが、そちらはキャンセルしてステージで待っていたら……本人たちが音合わせ? マイクチェックしていた。向かって左から佐藤征史、ファンファン、岸田繁の並び。さらに両横にいつものサポートギターの人に、キーボードの人。奥のドラムの人はあまり馴染みがない。なんか、岸田さんの声が出てないように思えたが、夏はフェスなどで喉を酷使気味なのだろうか。

とはいえ、演奏が始まってみれば杞憂である。なぜなら、インストゥルメンタルの「Tokyo OP」からだった。いや、意外なところからきたな。そうだ、この日はフェスだ。ここにいるのはくるりファンばかりではない。むしろ少ないかもしれない。時間も単独ライブに比べれば短い。そのなかで、くるりはなにを繰り出してきて勝負するのか?

結論から言うと、「ライブでほぼ毎回やるような曲」+「知名度の高い曲」でした。前者で言えば「ブレーメン」、「Morning Paper」、「虹」、それに「琥珀色の街、上海蟹の朝」もかな。後者は直球勝負の「ばらの花」、「東京」、それに「ロックンロール」だろうか。個人的には「ハイウェイ」やってくれたのがうれしかったのと、岸田のアコギ弾き語りで始まった「Baby I love you」がすげえよくて、本当に涙が出てきた。

まあそんで、くるりがガチガチのロックバンドかというと怪しいところはあるけれど、本日のおれの見た演者の中ではロックンロール度が一番強くて、すげえよかったな、と。大トリを見事にこなしたよな、と。さすがおれたちのくるりだよな、と。

いや、贔屓はあるのだけれど。というか、フェスって後が有利(?)なんだよ。おれ、Nulbarich聴いたあと、「これは今日のベストアクトじゃないのか。本当にすごかった」と思ったのだけれど、くるりに上書きされてしまった。そりゃまあ、曲名もメロディも歌詞も知ってるくるりと、曲名すら知らないNulbarichと比べるのは無理があるかもしれんが。これはまあ、比べられんよな。でも、やっぱり岸田繁のギターはカッコいいし、アンコールでの「ロックンロール」は様になるし、「ひょっとして、くるりあんまり知らない人にも興味持ってもらえたかも」とか思っちゃったし。まあ、ファン心理よ、許せ。

 

まとめ

というわけで、まあ、フェスというものを満喫したと言っていい。ビールも飲みまくったが、汗で流れたのか、どこかに行ってしまった。フェスはいいな。でも、これがもっと規模が大きくなったり、ステージがたくさんあって、超大物ばかり出てたりとか、人がすげえ多いとか、そんなんなったらどうなるかわからん。ローカルグリーンフェスは、まあなんというか、初心者向きだったのかもしれない。もちろんおれは初心者なのでとてもよかったのだ。2020年があるとして、またラインナップに魅力があれば行ってみたいと思ったのだった。

 

以上。

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(ステージ付近は撮影禁止だけど、これはすべて終わったあとの写真なので。ちなみに、わりと携帯端末で撮影、録画しっぱなしみたいな人も多かったな。あれ、禁止なのはもちろんとして、手が邪魔なんよな)