悲しきリストランテ Secondo Piatto 「ピッツァの耳、食べてしまったのですか?」

※このエントリーには貧乏人の被害妄想が多分に含まれています。

いま、この瞬間に、この話題について考えたり、なにか考えたりしているのは、日本中でおれだけだろうと思う。この話題とはなにか。

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これである。

これの対象となった店のことはもうどうでもよい。そのとき得たイタリア料理店についての知識だ。曰く、以下のような格というか種類があるという。

リストランテ、トラットリア、オステリア、ピッツェリア、タベルナ、バール……。わけがわからん。わからんが、おれが徒歩で通勤するとき、並んだイタリア料理店の前を通るのである。はて、あれらはどれにあたるのだろうか? と気になった。ただ、おれが徒歩で通勤するのは雨のときだけなので、確認するまで時間がかかったというだけだ。

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まず一軒。「ピッツェリア」と書いてある。「ああ、ピッツェリアって本当にあるんだ!」と思った。まあ、あるだろ。

で、ふーん、どんな店やろ? と思って食べログを見てみる。すると、レビューの中に「ピッツァの耳を残すのが最近のスタイル」とあって面食らった。え、残すので? むしろ、食べてしまったら、「ピッツァの耳、食べてしまったのですか?」と、店主からギルティ宣言されて、店を追い出されるかもしれない。それは避けたいところだよな。

というか、それ本当なのかよ? と、再度検索してみれば、どうも3年前くらいにネットで議論というか、話題になっていたらしい。おれに記憶はない。面倒くさいので各自検索されたい。で、イタリアどころかまともなイタリア料理店にも行ったことがないおれにはわからないのだが、ネット上の情報を見ると、「残してもマナー違反ではない」というあたりに落ち着くようだ。「食べる」側の有効勝ち(柔道的に言えば)といったところでは……ないかなあ。

あとはなんだ、マナー的にナイフとフォークで食べるという。それもなにか内側からくるくる巻いて、さらにそれを切って食べるらしい。おれには想像できない。モスバーガーのコピペのようだ。しかし、それを出来ずに手で食べたら、「手で、食べてしまったのですか」といってギルティ判定されて追い出される可能性がある。

そして、ピッツェリアでのピッツァ、めんどくせえ、ピザは一人一枚。そして、取り分けなどしない、らしい。ちょっとそっちの味をというのはギルティだ。どのくらいのサイズか、ほとんど宅配ピザしか食べないおれにはわからないが、食の細い人にはアンティパスト、ピッツァ、セコンド、ドルチェと食べきれるだろうか。たとえば、おれがピッツェリアに女と行ったとして、わけあってこのところの女は食が細いので、食べ切れるだろうか。インネパのカレー屋に行って、おれのさらにちぎったナンを知らん間に押し付けてくるくらいだ。

では、「こちらはちょっと食が細いので、少なめ、小さめで」、などと言ったら、「こっちは長年の修行をして完璧なメニューを提供してるんですよ。とっとと帰って、食パンのかけらにオリーブオイルでもかけて食べたらいいでしょう」と、ギルティ判定される可能性が高い。それは避けたい。ピッツェリア、なかなかに難しい。やはりおれは月に一度の「ピザの日」(おれがおれのために制定した、宅配ピザを頼む日。だいたい毎月22日ごろ開催)で十分だ。しかし、ピッツェリアのディナーというのはいくらくらいかかるのだろうか。ミネラルウォーター750円から考えると、ワインなど飲んだら、ひとりあたり3万円くらい用意すれば十分だろうか。わからん。

 

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そして、隣のお店。店の前にこんな看板がある。オリーブの葉に隠れてしまっているが、「入りづらい」、「中が見えない」とある。「それでも入ってみてよ」という誘いである。が、これは罠である。しょうもない客には入りにくくしているんですよ、中が見えないレベルのお店なんですよ、ということである。そして、「おいしくなければ1円もいらない」とそうとうの自信を見せている。かといって、決して料理の値段がリーズナブルと書いてあるわけでもない。これは見事な「魔≒貧乏人」除けといっていい。なお、ここでいう貧乏人とは、おそらく(自分で書いておいて「おそらく」もないのだが)、支払い能力以外に適切な服装をしている、マナーに通じている、立ち振舞いに問題がない、といった要素も含まれるだろう。イタリア語の読み書きや会話も求められる可能性がある。

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では、この店はリストランテなのか? リストランテ! でも、リストランテとは書いていない。「アットホーム」、「気軽にイタリアン」とあるが、果たしてどうだろうか。いろいろなサイトを見ると、トラットリアを名乗る高級店、ピッツェリアの高級店という罠もあるというではないか。ワイン代を入れて、ひとりあたり4万円で足りるだろうか。

そしてさらに、リストランテということになると、アンティパスト、プリモピアット、セコンドピアット、ドルチェ、その他、ということになる。女の話によると、若いころにイタリア旅行をしたとき、前菜のあとにパスタがどっさり出てきて、これがメインディッシュだと思って食べたら、そのあとに本当のメインが出てきて死ぬかと思ったという話である。あと、関係ないけど、母が大昔にドイツ旅行したとき、ジャガイモが出てきたのでジャガイモを食べたら、わんこそばのようにジャガイモがさらに盛られて、やはりメインどころではなかったという。

いずれにせよ、プリモピアットで「もうお腹いっぱい、セコンドはいらないので、食後のカプチーノください」などと言ったら、二重、三重のギルティで店を追い出されるのは確実だろう。

というわけで、おれがインターネッツで調べた限り、イタリアンは恐ろしいということである。というか、おれなどはサイゼリヤにでも行っておけ、ということだ。近くにないからあんまり行ったことないけど。

……などと書いたが、まあ貧乏人の被害妄想、すっぱい葡萄である。あるいは、ある年代に多いとされる裕福でない階級は文化資本というのか、背伸びの文化というのか、ともかくレストラン一つまともに行けないという話である。上に紹介した(?)店も、べつにそこまでは高くない(という基準は人それぞれだろうが)し、なにより何年もやっているのでそれなりにやれている店には違いない。近くに来たら行ってみてください。

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……とくに、ピッツェリアなのにピザ窯が破損してしまったピッツェリアに。しかし、揚げピザ? ピアディーナ? 謎は深まる。

 

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ちなみに、野毛から中央図書館の方に上がる坂に「真のナポリピッツァ」の店があります。耳、食べてしまったと思うのだけれど。