黄金頭さんの思う映画テン年代ベスト10:決勝順位編

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こちらの記事を読んだ。

washburn1975.hatenablog.com

 

とりあえず、おれは34作品まで絞った。

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さあ、無慈悲に10作品に絞って、さらに順位までつけてしまおう……と、思って今からやるんだけど、難しくね? 「おれはこういうやつです」と自己申告する怖さと恥ずかしさがある。自分をできるだけセンスのいいやつだと思わせたい、よい審美眼を持っている人間だと見せたい、広い知見を有したやつと勘違いさせたい……そんな卑しい欲が出てくる。自意識過剰の病だ。そしておれは性根の卑しい人間なので、それらの欲を捨てきることもできずに順位を公表する。さあ、どうしたものか。

 

1位:『ジョーカー』(2019年 トッド・フィリップス

一番最近観た作品じゃねえか。だから、よく覚えてる。有利だ。衝撃も残ってる。それは強い。でも、この映画は強いし、「テン年代」の最後の年に公開されたというのも、意味があるかないかわからない区切りの掉尾を飾ったといってもいい。この年代は、こうなってくる年代であり、この映画は今後どうなっていくかということを示唆しているようにも思える。くわえタバコで踊ろうぜ。

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2位:『ストライクウィッチーズ 劇場版』(2012年 高村和宏

おれがすばらしいストライクウィッチーズを1位にしないのはどうかしていると思われる向きがあるかもしれないが、そこは『ジョーカー』が近すぎて、強烈過ぎたのだからしかたない。とはいえ、おれはこの作品のBDをもちろん買い、たまに観て、観るたびに泣いている。泣けるからいい作品ではないが、よくない作品では泣けもしない。おれはこのシリーズの次作TVシリーズが公開される2020年までは死なないと決めている。

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3位:『止められるか、俺たちを』(2018年 白石和彌

おれが若松孝二若松プロ周辺が好きなのは、作品そのものよりも、その人たちにまつわるエピソードやなにかが好き、というのが大きい。むしろそっちだろ、と言われたら、「そうだ」と答えてしまうかもしれない。おれには足立正生が難しすぎる。……というような人間にとって在りし日の若松プロを描いたこの作品は、非常にぶち上がるものがある。そして、悲しい青春の話だ。おれはまだ、この作品のメーンテーマである曽我部恵一の「なんだっけ?」を聴くと涙ぐむのである。涙腺が弱い。

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4位:『菊とギロチン』(2018年 瀬々敬久

こうなったら、趣味しかねえな。趣味でいくぞ。2018年にギロチン社の映画が観られるってすげえよな。中濱鐵と古田大次郎だぜ。しかも女相撲だ。「おまえは優雅で感傷的な日本のアナーキストが好きなだけではないのか?」と言われるかもしれないが、「この映画では女相撲もいいんだ」ということになる。そのせいでむちゃくちゃ長いが、おれはその長さが気にならなかった。正直、きついかな? と思っていたけど、そんなことはなかった。だから、この映画はすげえんだ。あと、渋川清彦がかっこよかった。

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5位:『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年 庵野秀明

このあたりになると、「この作品はもっと上の順位では……」とか思えてくる。で、『ヱヴァ』のQである。やはりおれは(ちょっと遅れたけど)『エヴァ』の世代であって、自分の中の一つのスタンダードのようなものであって、なおかつわけのわからないところに連れて行ってくれる作品だ。現時点での最新作である『Q』、これももう、見事にわけのわからん体験をさせてくれた作品だった。その一方で、わけのわからんのに、見どころに溢れていて……なんというのか、メジャーなアニメ作品、よく知られたキャラクターを使って、ここまでやるのか、というのがすごい。そう思わないか?

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6位:『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(2012年 入江悠

『サイタマノラッパー』シリーズの最終……ではない(テレビ版「マイクの細道」があるので)が、劇場版三部作の最後、か。三部作でいえば、一作目かこれか、ということになるが、一作目は2009年の作品なので、ランクインするのはこれ。ともかくマイティがさ……とか、話し始めると長くなる。おれはおれなりに日本語ラップを愛しているし、この映画も愛している。

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7位:『ヤクザと憲法』(2016年 圡方宏史)

ドキュメンタリー映画から一つ、とかいうバランス感覚かなにか。そうなると、これかな、ということになる。ともかく、「東海テレビ、狂ってんなー」という感じがする一作。ヤクザ以上にすげえ何者かでなくては、これは撮れない。そして、その被写体も本物のヤクザであって、見応え十分なのである。どういうふうに見応えがあるかというと、『アウトレイジ』に出てくるようなヤクザではないわけだが、いや、なんというか、当たり前だがリアルなんよ。そのあたりはもう、観てくれ……って、今、この作品観る方法あんのかな。なんか、出てた人たち逮捕されたとかいう話もあるし。しかし、組長若いし、やはり組長っつーのはかっこいい人間にしか務まらんのかな、とか思ったっけな。

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8位:『この世界の片隅に』(2016年 片渕須直

これはもう、しかし、やっぱり、もっと上の順位でもいいでしょう。でも、まあ、世間の人がもっともっと評価するだろうし、なんだか、なんだ、言うことはもうないです。

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9位:『海炭市叙景』(2010年 熊切和嘉)

おれの佐藤泰志ブームというものがあって、世間的にブームもあったのだから映画も三作できたのだろうが、やはり『海炭市叙景』が一番よかったかな、と思う。おれのなかで佐藤泰志はわりとすごくけっこうなかなかに上位に存在する創作者であって、そうなるとその映画のなかで一番よかったというのは、やはりかなりよかったといえるのだ。

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10位:『パターソン』(2016年 ジム・ジャームッシュ

なんかよくわかんないけど、ランキングのなかにこんなの一作入れておきたいよな、という一作。なんという映画ではない、というとなんなんだけど、実になんという映画でもないのだ。それでいて、捨てがたいなにかがあって、おれはその「なにか」がよくわからんのだけれど、なんか覚えておきたい映画なんだ。なんというか、プロ野球のドラフト会議で言えば、ロマン枠に一枠使ったようなものだと思ってくれればいい。

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次点作品

消したりしつつ、順位をつけていって、消すまでにはいたらなかった。作品たち。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、ちょっと最近すぎるかな、とは思う。思うが、シャロン・テートが自分の映画を観るシーンは、おれが観てきた映画史上でも一、二を争うくらい美しく、楽しく、悲しいシーンであって、そのシーンだけでランクインさせてもよかった。
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若おかみは小学生!も強烈に揺さぶられる作品だったと思うのだが、「どのあたりが?」というとよくわからなくなったので、自信がなくなって次点。また観ます。

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ボヘミアン・ラプソディは間違いなく名作、傑作だけど、なんとなく次点。

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わたしは、ダニエル・ブレイクもとてもいい作品なので多くの人に観てほしい。

 

 

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『FAKE』も面白いことこの上ないのだけれど、結局どうだったんだい? というところで、どうだったんだっけというところがあって、それはそれでいいんだけれど、そこんところで次点となったのだと思う。

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セデック・バレはともかく主人公がすごかったので、これも多くの人に観てもらいたいが、ちょっと記憶が薄れているので……また観ます。

 

 

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アクト・オブ・キリングというと、アンワルさんということになる。おれのアパートのキッチンの方の部屋の壁には2枚だけプリントアウトした紙が貼ってあって、一枚はセリーヌ(作家)の身分証明書、もう一枚がアンワルさんだ。

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冷たい熱帯魚』が入っていないのは、自分としてもおかしい。おれのなかでそうとうに流行した作品だし、『冷たい熱帯魚』基準で、似たような作品を測るような存在ですらある。あれ、なんで入ってねえんだ? 考え直すか?

 

 

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……うーん、考え直すか。ちょっと考えよう。しかし、たとえばおれはそれなりに韓国映画を観ている。

韓国映画オールタイムベスト100 - 破壊屋ブログ

たとえば、このベスト100では1位から11位まで全部観ているわけである。もちろん、それより下にある作品もけっこう観ている。韓国ノワールは大好きだ。が、「韓国ノワール」というひとくくりで、どれも強烈すぎるのでどれとは選べなかった。あるいは、『金子文子と朴烈』、『私の少女』あたりを入れてもよかったが……。

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ペ・ドゥナは美しい……。

それに、コーエン兄弟もいねえなあ、とか言い出すときりがないか。キリがねえんだ。そんなもんだ。

いや、まあ、しかし、とりあえず、今のところ、こう、というところで、競馬の解説者がレース後に「10回走ったら10回勝ち馬が違うね」とかいい加減なことを言うようなところで、一つ。