『キャロル&チューズデイ』というと、今年のなかにあってもそうとうに輝きを放つアニメであって、作中音楽にかなりぐっときたところがあって、「これはサウンドトラックが楽しみだ!」と思ったわけである。
が、が、なのだ。自分が中学生のころに、行ったこともない国(今もおれは日本から一歩も外に出たことはないが)の、あの洋楽というものにどきどきしたような、あの感覚というものが、ヴォーカル・コレクションからは感じられなかったのである。不思議。
だって、もう、アニメのほうときたら、むかしむかし「BEAT UK」を視聴してどきどきしていたような音楽が、どんどん放り込まれてきて、「こりゃあすごい」ってなってたんだもの。それが、どうも音楽一本では「今どきの曲やね」というところに落ち着いてしまうのだ。
となると、これはもう、アニメのマジックというものが働いていて、ストーリーの中でいきいきと描かれていた音楽というのは、アニメのなかでいきいきと描かれているからこそいきいきとしているのかもしれないな、などと思った次第。これはなんというか、ちょっと我ながら不思議というか、意外なことであった。
とはいえ、楽曲のクオリティが低いということはない。「これが今どきの音楽です」としてどこに出しても問題ない(と思う)だろう。けれど、おれがアニメで観て、聴いて、「すげえ!」と思ったものは、アルバムからは感じられなかった。楽曲が悪いのではない、アニメがよかったのだ。おれはそう思うことにした。