いい人ばかりのアメリカにサンキュー『ブリグズビー・ベア』

 

ブリグズビー・ベア (字幕版)

ブリグズビー・ベア (字幕版)

  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: Prime Video
 
ブリグズビー・ベア (吹替版)

ブリグズビー・ベア (吹替版)

  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: Prime Video
 

外界から遮断された小さなシェルターで、両親と3人だけで暮らす青年ジェームス。テレビ番組「ブリグズビー・ベア」が、たった一人の友達であり、生きがいだった。25歳の時、突然現れた警察が、ジェームスを連れ去り、両親は逮捕されてしまう。「あなたが一緒に住んでいた男女は、25年前にあなたを誘拐したのです」...!?突如、外の世界で‟本当の家族”とともに暮らすことになったジェームス。偽の両親によって作られた「ブリグズビ―・ベア」から得た知識で育った彼の「常識」が、周囲の人間を騒動に巻き込んでいく…。

……という映画。外界と遮断されたカルト両親に育てられた青年が、突然解放される。本当の両親とともに暮らすことになる。そして、やろうとすることは……「ブリグズビー・ベア」の完結編制作だった。

本当の両親、妹との関係、あるいは外界のすべての人達の関係。常識の違い。さて、どのようなものだろうか。これが、案外うまくいくのである。重苦しさがない。葛藤も少ない。なにもかもスムーズというわけではないけれど、見ていて「これは嫌な感じの行き違いだな」という感じが少ない。そこが物足りないと思う人もいるだろう。おれも少しそう思った。そう思ったけれど、いい人ばかりのいい優しい世界というのも悪くはない。悪くはないがゆえに、物語の濃さが足りないとも思った。そのあたりで、行ったり来たりする映画ではあった。

それにしてもなんだろうか、主人公は監禁状態にあったとはいえ、(疑似)インターネットを知っており、外に出てもGoogleに助けを借りる。そのあたりがなんかちょっと面白いよな、と思った。こういう細かいところよな。でも、こういう細かいところは陳腐化しやすいけどな。でも、インターネットいうものが今後いきなりなくなるわけでもなく、いま、この時代に描くべきところだろうな。

まあ、そんなんはともかく、とりあえず、そんなに長くないし、ちょっと見てみてもいいんじゃないのかな。映画についての映画でもあって、映画愛のある人には刺さるところがあるかもしれない。そんなところで、じゃあ。