■おまえ、最近ビリヤニ食ってねえな。あんなにビリヤニに興奮していたおまえはどこへ行った? インドに行ってしまったのか?
▽いや、それどころじゃないんだ。インドどころか、ちょっと東京まで出かけてエリックサウスで飯でもって情況じゃないんだ。そりゃ行きてえよエリックサウス。サヒファ・ケバブ・ビリヤニでもいいよ。
■まあともかく、おまえはビリヤニを食ってねえってことなんだな。
▽早合点はやめてくれ。実はおれにすばらしい贈り物があったんだ。自宅で作れるビリヤニセットだ。ずばりこれだ。
■なんだそれは。ビリヤニってのはなんかでかい鍋みたいなのに、階層を作ったりするんじゃないのか。
▽ところがこいつ、基本的にレトルト+鶏肉層にバスマティライス層の二層を炊飯器にセットして、炊飯ボタンを押すだけって代物だ。
▽見ろ、この細長さ、これがバスマティライスってもんだ。こいつがなきゃ始まらねえ。こいつを洗って、ボウルかなんかで水に15〜30分浸けておく。
■炊飯器で浸けておけばいいんじゃねえのか。
▽いや、炊飯器は肉とレトルトを混ぜ合わせて用意しておくんだ。
■なるほど。ところでおまえはひごろ炊飯器なんて使ってないよな。そもそも持っていたのか?
▽持っているとも。
goldhead.hatenablog.comここに書いてあるとおり、おれは「ローエングリンとプリサイスマシーン、あるいは栄光の阪神マイル」号と名付けた炊飯器を持っている。が、もう15年も前の話になる。そしておれはしばらく米を食っていたが、すっかり使わなくなって……いまのアパートに越してきてから使った覚えがないから10年はスイッチを入れていないんじゃないかな。
■おい、それじゃあ、動くかどうかもわからねえのにセットしてんのか。まあ、確かめようもないが。それにしても、ローエングリン産駒のトーセンスーリヤは今の中山の馬場にばっちりだったな。
▽それはどうでもいいんだ。ともかく、肉とレトルト層の上に水を300ml、塩を小さじ1/2入れたんだ。
■なんか浮いてるぞ。
▽これは豆だ。レシピのどこにも豆なんて書いてないけど、コールスローサラダ用に余っていたのを入れたんだ。豆くらいいいだろう。まあともかく、蓋をしてスイッチ入れたんだ。「炊飯」スイッチだ。
■動いたのか、炊飯器。
▽なんかピーって音がして、炊飯のランプがついた。ただ、外からじゃすぐにはわからないよな。そのうえ、おれは炊飯器が何を根拠に「鶏肉とビリヤニの素とバスマティライスが炊きあがった」ことを判断するのか、さっぱりわからない。ちょっとは不安だったな。でも、いざとなれば、フライパンで蒸せばいいだろうってな。
■それでどうなった。
▽こうなった。
途中からいい匂いの湯気が出てきて「炊きつつあるな」と思ってしばらくすると、ピーっと鳴って保温モードになった。蓋を空けてみたら、見事に炊きあがってて、ちょっとびっくりしたぜ。
■そりゃよかったな。
▽それで皿に盛ったんだが、量が想像以上に多いのよ。おれは生米を扱うのがひさしぶりで、炊きあがったときの想像力を欠いていたな。
■そんで味はどうだった。
▽そりゃ店で食うものとは違うよ。ちょっと味は薄味で、謎の具も辛味もないわな。それでもな、おれがビリヤニで一番大切な要素と思ってる、バスマティライスのパラパラさ、サラサラさ、これはもう完璧だったな。「量、多い、でもサラサラ食える」ってもんだ。至福だな。おれは日本の米よりバスマティ米が好きだと断言していい。
■ほう、そりゃよかった。
▽で、二杯目もそのまま食べることにしたぜ。ビリヤニを保温していいのか、冷まして翌日電子レンジにしていいのかわからなかったからな。もちろん、飽きがこない工夫もしたんだ。
■ヨーグルト?
▽いや、ライタだ。100円ローソンで買ったプレーンヨーグルトそのものであることは否定しないが、これはライタだ。ビリヤニにかけて食べる白いもの、そりゃあライタだ。なんかライタと違うような気もするが、ライタだったんで美味しく食べたというわけだ。腹いっぱいだ。こんなに炭水化物を腹いっぱい食ったのも久しぶりだ。
■まあ、よかったな。それで、これからビリヤニばっかり食う生活か?
▽それは無理だ。ただ、炊飯器は使えることがわかったから、なにか料理はするかもしれない。米は太るから、運動不足になりがちな今は避けたい。ただ、動くのがわかったのはよかったな。まあ、気が向いたらビリヤニ・セットも自分で買ってみるよ。そんなところだ。
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